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国の重要文化財に指定された九州最大の形象埴輪群を再復元したい

カテゴリー:伝統・文化・歴史 

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寄付金額 358,500

7.1%

目標金額:5,000,000

達成率
7.1%
支援人数
7
終了まで
受付終了

宮崎県新富町(みやざきけん しんとみちょう)

寄付募集期間:2025年6月17日~2025年9月14日(89日間)

宮崎県新富町

プロジェクトオーナー

宮崎県新富町に所在する百足塚古墳は、国指定史跡「新田原古墳群」を構成する主要な古墳のひとつであり、日本遺産「南国宮崎の古墳景観」の構成文化財でもあります。
この百足塚古墳で発見された形象埴輪群は、令和7年3月、文化審議会により文部科学大臣へ国の重要文化財として指定するよう答申がなされております。
このたびの重要文化財指定を契機として、新富町では、出土埴輪の本格的かつ計画的な修復・復元作業を実施する運びとなりました。
これらの埴輪は、わが国の古墳文化を理解する上で重要な資料であり、この貴重な文化財の保護・修復のため、本プロジェクトへの暖かいご支援をお願いします。

1400年の時を経て姿を現した西日本有数の「形象埴輪」を後世に伝えたい

百足塚古墳(むかでづかこふん)は、日本遺産「南国宮崎の古墳景観」の構成文化財である国指定史跡「新田原(にゅうたばる)古墳群」のうちの古墳の一つです。
新田原古墳群は、古墳時代前期から終末期にかけて300基以上の古墳が造られ、なかでも後期において南九州最大の首長墓が継続して造られたことがわかっていて、百足塚古墳もその一つです。

新富町は、同古墳群の史跡整備事業を進めており、その端緒として平成9年度から同16年度までに百足塚古墳の確認調査を行いました。
その結果、古墳の規模や形状、埋葬主体の位置などに加え、墳丘や周溝から多量の埴輪が発見されるなど、当時の古墳の様子が明らかになってきています。
それらの埴輪のうち、墳丘の西側の周溝から発見された形象埴輪群は、もともと周堤に樹立されていたもので、その種類と数において、西日本でも有数も発見事例であることがわかりました。
その内容が評価され、令和7年3月、文化審議会が文部科学大臣に対して国の重要文化財に指定するよう答申されました。

貴重な「はにわ」を後世に保存する取組みについて  

百足塚古墳で発見された埴輪は、周溝に転落した状態で発見され、ほとんどの埴輪は無数の破片となっており、その量はプラスチックコンテナケース500箱以上になりました。
新富町では、これらの破片を洗浄して接着し、破片の無い箇所を樹脂で補うなどして、可能な限り当時の姿に復元してきました。
しかしながら、破片自体がもともと焼成不足になっているものや、その後の保存状態により脆弱になってしまったものも多く、担当者の復元作業だけでは将来にわたって形を留める続けることが難しい状態です。

このたびの重要文化財指定決定を受け、新富町では貴重な埴輪を後世にわたって保存するため、本格的な修復・復元作業を行う予定です。

~埴輪の保存処理と復元作業について~

まずは現在の復元状態を記録した後、
接合されている接着剤や補修材を専用の薬剤等や機材を使って、埴輪本体を傷めないように慎重に取り外していきます。
次に断面に残った接着剤などをクリーニングしていきます。
その後接合箇所や必要な破片の補強処置を行い、接合・復元を行います。
接合・復元作業についてはX線写真など随時必要な記録や処置を行います。
欠損部分は樹脂等で復元し補彩を施します。
経過観察と点検・写真記録を経て、埴輪の修復・復元作業が完了します。

町民、そして国民の財産(たから)

百足塚古墳の形象埴輪は、九州でも最大にして種類も豊富です。
北は岩手県から、南は鹿児島県にいたるまで、古墳時代300年を通じて列島各地に古墳が造られ、現代に残されていますが、いずれの古墳においても埴輪が見つかる訳ではなく、埴輪が発見される古墳の数は「西低東高」の様相があります。

関東を中心とした東日本においては、比較的小さい規模の古墳からも多数の埴輪が見つかる傾向にあり、西日本においては比較的大きい古墳に限定される様相にあります。
このことから、東日本では、特に古墳時代後半において、埴輪づくりが地元で定着して広まったと考えられますが、西日本においては地域で有力であり、列島中枢の政権と密接な関係性を持つ首長のみが古墳に埴輪を立て並べることができた可能性が高いのです。その代表例が百足塚古墳なのです。

特に、百足塚古墳で発見された形象埴輪は、ほぼ同時期に造られ継体天皇陵と目されている大阪府今城塚古墳で発見された形象埴輪の種類や内容に近く、政権の中枢を担った大王の埴輪祭祀が導入されたものと推測されます。

百足塚古墳で出土した埴輪の一部を紹介します。

「踊る女性埴輪」





「踊る女性埴輪」は、上衣を両肩から背中に通じて巻かれたタスキで留め、右手で裾をめくる様子を表現したものです。
両足の表現があり、その股間には女性器の表現もあります。性器を表現した埴輪は全国で7例ありますが、自ら見せる所作を表現したものは他に類例がありません。

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「ひざまずく男性埴輪」

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「ひざまずく男性埴輪」は、甲冑を身に着け跪座する埴輪です。
鍔付きの帽子をかぶり、下げ美豆良(みずら)の人物で、首には首飾り、手には籠手を装着しており、臣下の中でも身人高位の人物であると考えられます。
何かを唱えているように口を開いており、祭祀の場を表現している埴輪です。ひざまずいている男性埴輪のこれまでの発見事例として19例あります。

「毛を逆立てた鳥形埴輪」

「毛を逆立てた鳥形埴輪」は、木の上に止まる雄鶏が興奮して羽を逆立てた様子を表現したものです。
鳥形埴輪は国内で300例以上出土していますが、毛を逆立てたものは稀で、今城塚古墳から出土した鳥形埴輪にも同様の表現をしているものがあります。
百足塚古墳から出土したものは羽の造りが実際の羽と違い、逆立てた毛が実際の鶏とは逆向きに逆立っている点に特徴があります。埴輪の製作者が実際の鶏を見ながら作成したわけではないと考えられます。

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「太鼓形埴輪」

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「太鼓形埴輪」は、和太鼓を表現したものです。
太鼓や琴をもつ人物埴輪の表現は他に発見事例がありますが、太鼓を単体で表現したものは、国内に4例しかなく、今城塚古墳とも共通する埴輪です。


他にも、弓を射る男性と犬と鹿のセット、馬引きの男性と馬のセット、力士、家や倉庫と柵のセットなど、古墳時代当時の習俗や祭祀を物語る様々な埴輪は出土していて、それは、今城塚古墳に埋葬された大王の埴輪祭祀をそのまま導入したような内容となっているのです。
このように百足塚古墳から出土した埴輪は古墳時代後期の埴輪祭祀を考える上で重要であるとともに、中央政権と南九州との政治的・文化的影響を考える上でも注目される資料となっています。
今後、これらの出土遺物を貴重な考古資料として現代に活かし、次の世代に引き継いでいくこと、そして日本国民の共有財産として多くの皆さんにご覧いただくために、計画的に修復・復元作業を行っていく計画です。

寄付者のみなさまへ 新富町教育委員会生涯学習課からのメッセージ


史跡や埋蔵文化財は、地域の歴史を物語る地域の財産であり、その調査や保存については地域住民のみなさんの理解を得ながらこれまでも取り組んできました。
特に、新田原古墳群については、その保存や活用のため史跡整備を進め、指定地の買上げや日常的な管理に取り組んできたところです。 

新田原古墳群の管理は、宮崎県内の古墳群でも、西都原古墳群(約58ha)、生目古墳群(約22ha)に次ぐ3番目の面積(約13ha)を有しているため、その環境を維持するための財政的な負担は非常に大きなものになっています。
このたびの復元プロジェクトについては、そのような厳しい財政状況の中でも、地域のみならず、日本列島の古墳時代社会を雄弁に物語る歴史資料を後世に残そうという取組です。皆様からの暖かいご寄付をお願いします。

事業実施のスケジュール 形象埴輪の復元作業 

寄附金の使い道

◆事業実施のスケジュール 形象埴輪の復元作業

78点に及ぶ埴輪については、長期間に渡る復元作業が必要と考えています。
今回の取組みは、令和8年度から形象埴輪の復元作業を行うためのプロジェクトです。初めに「踊る女性」の修復を目標としています。

皆様からいただいたご寄付はこの埴輪の修復・復元事業のために活用いたします。
なお、目標金額に達しなかった場合でも、埴輪の修復・復元プロジェクトに活用させていただきます。
また目標金額以上のご寄付をいただいた場合も、今回以降も継続する本プロジェクトに使用させていただきます。

2025(令和7)年度 形象埴輪の復元作業計画策定
2026(令和8)年度 形象埴輪の復元作業
2027(令和9)年度 復元した形象埴輪の公開

※現時点での目標年度です。諸般の事情により事業が遅れる場合もあります

寄附金の使い道

3D技術で現代に甦る、いにしえの埴輪たち

埴輪の3Dレプリカ(1/10サイズ)

ふるさと納税で
このプロジェクトを応援しよう!

ふるさと納税とは、ふるさとや応援したい自治体に寄付できる制度です。
控除上限額内の2,000円を超える部分について、所得税や住民税の還付・控除が受けられます。

控除上限額かんたんシミュレーション

結果:-

現在進捗情報はありません。

宮崎県新富町

新富町は、宮崎県でも太平洋に面した広い沖積平野部にあり、旧石器時代から続く古い歴史を物語る埋蔵文化財の包蔵地でもあります。
国内唯一の古墳をテーマとした日本遺産「南国宮崎の古墳景観」の構成文化財の一つである新田原古墳群が町域に存在しています。
新富町は文化財保護を重要施策としていますが、町の規模に対して史跡の規模が大きく、調査や管理など、財政的な負担は大変大きい状況です。
地域のみならず、国内的にも重要とされる文化財を、後世に伝え私たちの祖先をよりよく知るためにも、本事業を推進したいと考えています。皆様からのご寄附をお待ちしております。