2022/12/29 (木) 12:57

中富良野米「ゆきひかり」から造る地酒にこだわる酒屋

中富良野町には、地元で酒米用として栽培したお米「ゆきひかり」と大雪山の雪清水から造られる地酒があります。そして、その地酒と酒粕にこだわり続けている酒屋があります。

 この田んぼで契約栽培される減農薬米「ゆきひかり」と米麹・大雪山の水のみで寒仕込みした中富良野町の地酒の名は「法螺吹」(ほらふき)。
法螺吹は1989年(平成元年)、米の消費拡大を図り中富良野町を米の主産地にしようと、中富良野農協(現在はJAふらのに統合)・町役場・商工会が一丸となり推し進めたプロジェクトから誕生しました。「中富良野産米酒造振興会」(現在は「なかふらの産米酒造振興会」)と人気ブランド「国士無双」シリーズで知られる旭川の高砂酒造㈱がタイアップして生産を開始した純米酒なのです。

 今回は、大正9年4月1日に創業してから今年で102年目を迎える小さな町の酒屋さん「前野商店」をご紹介します。
店主の前野仁志(まえのひとし)さんは中富良野の地酒「法螺吹」誕生当時、酒屋として深く関わっていらしたそうです。お店は、富良野市から旭川市へと向かう国道237号線沿いにあります。かつての商店街は年々お店が減り寂しくなってきていますが、その中で夕方になるとイルミネーションが灯りひときわ目立つお店が前野商店です。

<前野商店>
住  所 : 中富良野町本町7-10
電  話 : 0167-44-2504
営業時間 : 8:00~20:30
定 休 日  : 無休
       ※営業時間や定休日は変更になる場合もあります

 店頭販売から配達まで昔ながらの酒屋さんのスタイルを守り、前野さんご夫婦と息子さんの家族3人で営んでいらっしゃいます。お店の中に入ってみると・・・

 日本酒、ワイン、ビール、ウィスキーなどいろいろな銘柄のお酒が所狭しと並んでいます。
壁には「小檜山酒造場」の半纏も見えますね。「小檜山酒造場」というのは、「法螺吹」を委託醸造していただいている「高砂酒造」さんの創業時(1899年)の名称です。こんな貴重なものも譲り受けるくらい老舗の酒蔵とも長いお付き合いなのですね。店内には他にも時代を感じさせる看板や秤などが並んでいます。

 縁起物と言われるひょうたん徳利がたくさんありますが、これらは全て店主の手作り。ご本人曰く、ひょうたんが大好きな「ひょうたん爺さん」なのだそうです。子どもの頃に昔話の絵本で、ひょうたんの水筒にお水やお酒を入れているのを見た覚えがあるので、なんだか懐かしい~ お蕎麦屋さんでもたまにひょうたんの形の唐辛子入れを見かけることがありますが、昔の人の知恵でひょうたんを容器として使っていた名残りなのですね。

 店内の壁や棚には、中富良野町在住の書道家 福瀬餓飢(ふくせがき)先生の作品なども飾られています。
「法螺吹」誕生30周年の際には、限定版パッケージに揮毫をしてくださいました。

 そして、こちらが返礼品になっている地酒「法螺吹」です。

 「法螺吹」という名前は一般公募で決まったのですが、名付け親の主婦(町民)によると、「おいしい地酒を飲んで、一年間を明るい気分で法螺でも吹いて、夢や未来を語りながら暮らしては・・・?」という気持ちが込められているのだそうです。
地酒開発に携わったという前野さんにも、その当時のことをちょっと聞いてみました。

Q1.開発当時のエピソードなど何かありましたら教えていただけますか?

A1.私は、公募した地酒の名前の選定メンバーの一人だったのですが、「法螺吹」という言葉を仏教用語辞典で調べてみたら「気合いを入れる」「元気を出す」という意味もあることを知ったので、これは町の特産品のネーミングにぴったりだと思って推薦したんです。そうしたら他のメンバーも納得してくれて決まりました。当時のプライベートブランドとしては道内一の生産量、一升瓶換算で1万本を造りました。

 なるほど・・・私も調べてみましたが、「法螺を吹く」とは元々「仏の説法」を意味する仏教用語でもあるようですね。今では一般的に違う意味で使われていますが、本来の意味を知ると何だかありがたい気持ちになります。

 そして、ちょっと目をひく酒かすスイーツの文字・・・

Q2.法螺吹の酒かすスイーツは、どのようにして誕生したのでしょうか?

A2.平成21年頃に、まちで新しいスイーツを作ろうという話が出てきたことがありました。その時に真っ先に頭の中に思い浮かんだのが法螺吹の酒粕でした。原料のゆきひかりは健康をサポートしてくれる人に優しいお米だと聞いていたので、酒かすを使ったスイーツを開発すれば酒かすの再利用もでき一石二鳥ではないかと思い提案しました。しかし、当時はもうこの町のお菓子屋さんはなくなっていたので、富良野にある老舗の菓子司 新谷の先代社長で若い頃からの友人でもあった新谷さんにいろいろなアドバイスや協力をしてもらいました。製造も新谷さんが運営に関わっている社会福祉法人「工房すきっぷ」の機械を利用できることになりました。法螺吹饅頭は、新谷の銘菓「へそのおまんぢう」を作っていた職人さんからご指導を受けて作っているんですよ。その結果できたスイーツは、「酒かす饅頭」「酒かす入りケーキ」「酒かすクッキー」「酒かすバウムクーヘン」の4種類になりました。

 とのことでした。 
私も時々食べたくなるのですが、特に入荷したての法螺吹饅頭はやわらかくておいしいですよ~

 そして、酒かすを使った特産品はスイーツだけでなく、なんと「法螺吹せっけん」もあります。アレルギーを起こしにくいと言われている「ゆきひかり」からできた酒かすで作る石鹸は、お肌に優しいのだそうです。

 お酒を醸造した際にできる酒かすは、昔から漬け物や汁物などの料理や甘酒に利用されていましたが、このお店では20年以上前からコツコツと他の品物へのアップサイクルを続けていたのでした。中富良野町にいらした際にはぜひお土産にいかがでしょうか?

「ゆきひかり」について

ここでちょっと、「ゆきひかり」というお米についてご紹介します。

 「ゆきひかり」は、1984年(昭和59年)に北海道立中央農業試験場が開発したうるち米で、「きらら397」が誕生するまでは北海道米を代表する存在でした。今では北海道でも、モチモチ感のあるコシヒカリ系のお米を栽培するようになりましたが、うるち米系の「ゆきひかり」は以前から何故かアレルギーを起こしにくいお米として知られていて、今でもニーズがあります。なかなか採算がとれないお米のため栽培している農家さんはごくわずかになってしまいましたが、収穫量は少ないながらも栽培を続けています。
 北海道大学大学院農学研究院の園山慶教授の研究では、「ゆきひかり」には腸内の悪玉細菌を減らす性質があり、アレルギー反応を抑制する効果が見られたそうです。

※参考
北海道大学大学院生命科学院消化管生理学研究室
北海道大学農学部生物機能化学科食品機能化学講座(園山グループ)公式ウェブサイト
(園山教授からリンクの許可をいただいております)

 「法螺吹」は、原料の「ゆきひかり」が希少品種のため販路は限られており、全国的には見かけることが少ないかもしれませんが、ご興味のある方は、ぜひ一度お試しください。

中富良野町産のお米「ゆきひかり」から造られた地酒「法螺吹」(ほらふき)のお申込みはコチラ!

<地酒 純米酒「法螺吹」(ほらふき)720ml×2本>

 ユニークなネーミングとスッキリとした味わいが好評の「法螺吹」(ほらふき) クリーン農業を推進している中富良野町で作られた「ゆきひかり」を原料に寒仕込みした純米酒です。ゆきひかり60%精米の米で仕込んだ米のコクがあるタイプのお酒を、ぜひ一度お試しください。
この返礼品は、前野商店、または、四方商店から発送されますので、ご了承ください。

★中富良野町のすべてのお礼の品一覧はコチラ
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企画課 定住促進係

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