2025/11/10 (月) 15:19
人気返礼品をつくる職人《ひと》 ~鹿嶋市ふるさと納税 特別編 Vo.7~
この記事について
鹿嶋市ふるさと納税は、鹿嶋市にふるさと納税(ご寄附)をいただく皆さんはもちろん、返礼品を用意していただく市内生産•事業者の皆さんのご協力があって成り立っています。
そこで、ふるさと納税ポータルサイトなどでは伝えきれない、生産•事業者の皆さんが「どんなこだわりや想いを抱いて作っているのか」などをご紹介します。
※最下部にもリンクがあります。
1.vol.7 株式会社田口商事・相澤 正弘 さん
「鹿嶋市は、もっともっと、チャレンジできる地域であり続けてほしい」
そう語るのは、茨城県鹿嶋市に根差し、100年以上の歴史を持つ株式会社田口商事社長・相澤 正弘さん。
株式会社田口商事社長・相澤 正弘さん
田口商事は、お米屋から始まり、お弁当、お寿司(現在は休止中)、宝くじ、そしてインターネットプロバイダ事業へと時代の波に合わせて少しずつ事業内容を広げてきました。
同社は現在、ふるさと納税には鹿嶋市で育てたお米を提供していますが、現在、新たな返礼品への挑戦の真っ最中です。
この挑戦の舞台裏には、地域振興への熱い思いも隠されていました。
相澤さんが田口商事に入社したのは約15年前。お弁当配達から始まり、今では会社の舵取りを担います。お弁当、お米、宝くじなど、多岐にわたる事業を支える中で、常に根底にあるのは「お客さんに喜んでいただき、喜び続けていただかないと」という思いです。
その思いをもって取り組んできた中で、もっとも印象深い事業のひとつは、今や鹿島アントラーズのスタジアムグルメとして欠かせない存在となった名物「しらす丼」でした。
2.メルスタ名物「しらす丼」誕生秘話
2015年のホームタウンデイズ鹿嶋の日のために企画された「鹿嶋市どんぶり」企画において、「しらす丼をやってみませんか」と市役所から声がかかった時、相澤さんの胸には「正直あんまり売れないだろうな」という思いがありました。
それでも、「せっかくいただいたお話だし、やってみよう」と挑戦を決意。
「疲れ『しらす』丼」と名付けられたその丼は、安重水産のしらすを使用して販売されました。結果は、予想を裏切る大成功。
今やメルカリスタジアム(カシマサッカースタジアム)グルメの定番のひとつに成長しました。
「いただいた話でこれだけお客さんにも喜ばれるのは、本当に嬉しいですね」
この経験は、相澤さんにとって「地域と共に、チャレンジすることの価値」をあらためて感じる機会にもなりました。
3.鹿嶋市はチャレンジできる街であってほしい
鹿嶋市はどんな場所ですか?と尋ねてみると。相澤さんはすこし考えてからこう答えました。
「やさしい人が多い街ですよね」
そして、こう続けました。
「大きさ問わず、いろんなことにチャレンジできる地域であり続けてほしいなと思っています」
鹿嶋市のチャレンジの歴史───
それは、絶対に不可能だと言われた「鹿島でのプロサッカークラブの創設」。
1991年当時、人口約4万5000人だった鹿島町は、地域の住民、自治体、企業、関係者がそれぞれ力を尽くし、多くの困難を乗り越えて「99.9999%不可能」といわれたJリーグ加盟を成し遂げました。
鹿嶋市では今、別の地域から移住したりUターンで戻ってきて、新たな事業に奮闘する若い年代の方が少しずつ増えてきています。そうした人々を迎え入れ、まちおこしに熱が帯びている状況を、相澤さんは「地元でずっと住んでいる事業者とはまた違う視点・違う事業で鹿嶋市を盛り上げようとしていて、大変嬉しい刺激になっている」と歓迎します。
そして、田口商事としても「昔のいいところは残しつつ、地域の皆さんに刺激を受けながら新しいことにチャレンジしていきたい」と、未来を見据えて語りました。
4.若手との連携で知識と経験を共有
相澤さんは、かしま青年会議所での活動をはじめ、若手事業者の集まるマーケティング講座に参加するなど、積極的な地域コミュニティでの交流を通じて、刺激を得ています。
「鹿嶋市をより盛り上げていくためには、私自身の知識も経験も圧倒的に足りないなと思っていて。それも、自らチャレンジしていかないと、身についてこないと痛感している」
若手の集まるコミュニティでの「同世代で刺激し合って、俺たちでこうやってこうぜ」という気運を大切にしながら、新しい情報を積極的に取り入れ、時には失敗することがあってもそれ込みで様々な経験を積んでいくことが鹿嶋市の活力を高める鍵だと考えています。
また、相澤さんは、地域が元気になるための積極的な手段のひとつに、ふるさと納税があると考えています。
「ふるさと納税は、鹿嶋を知っていただけるチャンス。そして普段、私たちが税金を納める以外で、地域に貢献できるチャンスでもあると思っています」
現在、田口商事は、ふるさと納税で新たな返礼品の開発に挑み始めています。
5.試行錯誤の末に生まれた逸品!「鮭の粕漬け」
ふるさと納税で新しい返礼品を生み出すにあたり、田口商事が選び抜いた返礼品は、同社のお弁当事業のノウハウを活かした「鮭の粕漬け」です。
鮭を選んだのは、お弁当事業において自社でも利用できることが大きく、すでに同社返礼品として提供しているお米とも相性がいいこと、また全国のふるさと納税全体でも人気が高いという視点から。
しかし、返礼品化への道のりは、味の検討から始まり、技術・設備・仕入れの四重の壁を乗り越える「チャレンジ」でした。
●試作10種類以上!「食べやすさ」のこだわり
まず立ちはだかったのは「味」の壁。仕入れた鮭は塩分が非常に濃かったのです。
「さすがにこんなしょっぱいの出せない」と感じた相澤さんは、塩麹、味噌、洋風オイル漬けなど、手当たり次第に約10種類の試作品を作り、試食を重ねました。
その結果、最も塩味が抜け、旨味が出て、焼き上がりも身がふわふわになるという「薄い粕漬け」にたどり着きました。
「この味を嫌いな人はいないだろうな、という一番優しい味でした」
●素人から始めた「鮭さばき」に奮闘
最大の課題は「技術」でした。
お弁当屋で会社としてフィレ(半身)の状態の魚を厚切りに捌く経験が少なかったため、相澤さんは自ら包丁を手にし、「YouTubeとか見て、こうやってやるんだなってやりながら」試行錯誤を開始。無駄を出さないよう練習を重ね、切り方を習得していきました。
「今後も当分、自分の手で包丁で切ってやっていくつもりです。どんどん上手に切れるようになってくると思うので、成長が見れる珍しいふるさと納税の返礼品になるのかな(笑)」
●事業者仲間などとの連携で設備や仕入れの課題をクリア
当初考えていたバラ凍結設備はとても高額だったため、導入に二の足を踏んでいた際、手を差し伸べてくれたのは、「シン・かしまし豚丼」を返礼品として提供している「ツマギアンズ」の山町さんでした。
真空にする機械を貸してもらい、試作品作りをさせてもらったことで、「これならいける」と確信。小型の真空パック機を導入するに至りました。
仕入れに関しても、関係者から紹介を受けて納得の行く価格での仕入れ先を複数の業者と出会うことができ、「おそらく、全てに関してみなさんの協力がないとできなかったかなって感じです」と相澤さんは微笑みます。
田口商事の新たな返礼品の鮭は、お弁当屋としての「安心安全」へのこだわりと、「食べやすさ」を追求したチャレンジの結晶です。
近日中に鹿嶋市のふるさと納税返礼品として、よりよい状態で提供が始められるよう引き続き試行錯誤を続けていきます。
6.チャレンジし続ける鹿嶋市へ
田口商事のふるさと納税返礼品への挑戦は、「俺でもできたんだから、みんな色々やろうよ」という、鹿嶋市の事業者全体への呼びかけでもあります。
「鮭は、当社にとってのチャレンジ1歩目。これが成功につながれば、どんどん新たな返礼品の開発にも投資していきたいと思っています。それを地域のみんなにも見てもらって、じゃあうちも試しにやってみようかな、って思ってもらえる鹿嶋市になってほしい」
市内の事業者がふるさと納税返礼品を充実させ、寄附をいただくことで鹿嶋市に貢献できる、という想いから、田口商事の取り組みを見て他の事業者にも挑戦してもらいたい、と相澤さん。
かつて鹿島アントラーズが、99%以上無理だと言われたところから大きな挑戦をして誕生したように、相澤さんは「大きさ問わず、チャレンジしていけるような地域」を目指し、事業者仲間と切磋琢磨しながら、先陣を切って行動しています。
そして、理想の鹿嶋の未来に思いを馳せ、相澤さんは笑顔でこう続けました。
「鹿嶋市へふるさと納税をしていただくことによって、鹿嶋市が今よりもチャレンジして行ける地域になっていくと思います。寄附をしてくださった方は、鹿嶋市がより良く変わっていくさまも楽しんでいただけるんじゃないかな」
チャレンジし続ける鹿嶋市へ───
鹿嶋市の未来、そしてチャレンジを続ける事業者を応援してみませんか?
皆さまのふるさと納税を通じて、鹿嶋市の成長の後押しをしていただければ幸いです。
7.社長直伝!「鮭の粕漬け」食べ方アドバイス
田口商事の「鮭の粕漬け」は、厚切りでボリュームがありますが、流水解凍わずか5分で調理を始めることができます。(お好みで、焼く前に酒粕を拭き取ってください)
じっくり焼いても身が硬くならず、仕上がりふんわり。
編集スタッフは、片面グリルの弱火で7~8分焼いた後、ひっくり返してさらに5分ほど焼いてから食べてみました。本当にふわふわで、酒粕の風味もそんなに気にならなかったのか、小学生・未就学児の子どもたちにも大好評でした。
相澤さん「焼いてからほぐして、しらすとともにごはんに乗せるのもおすすめです。ぜひご意見やご感想をお寄せください。一緒に弊社の商品育てていきましょう」
●ひと足先に、ホームタウンデイズでおひろめしました!
2025年10月5日(日)にメルカリスタジアムで開催されたホームタウンデイズ「鹿嶋の日」では、この、相澤社長おすすめの組み合わせの「粕漬け鮭の相乗り丼」が販売されました。
田口商事の粕漬け鮭と安重水産のしらすがたっぷり!両方がぜいたくに楽しめる、よくばりな一品です。
訪れたサポーターのみなさんにも好評をいただき、早々に完売しました!
いつの日か、メルカリスタジアムグルメとして登場するかも…?
8. 【鹿嶋市ふるさと納税の返礼品ページ】
※粕漬け鮭は現在準備中です!こうご期待!
しかふる3号
鹿嶋市ふるさと納税の担当者です。生産者の皆さんの知られざる情熱やこだわりをご紹介します。