2024/12/19 (木) 17:35

人気返礼品をつくる職人《ひと》 ~鹿嶋市ふるさと納税 特別編 Vo.2~

この記事について

鹿嶋市ふるさと納税は、鹿嶋市にふるさと納税(ご寄附)をいただく皆さんはもちろん、返礼品を用意していただく市内生産•事業者の皆さんのご協力があって成り立っています。
そこで、ふるさと納税ポータルサイトなどでは伝えきれない、生産•事業者の皆さんが「どんなこだわりや想いを抱いて作っているのか」などをご紹介します。

※最下部にもリンクがあります。

1 vol.2 鹿島焼芋 関口 肇 さん

茨城県は誰もが知る「さつまいも」の一大産地。鹿嶋市も例に漏れず、さつまいもの生産が盛んな地域です。
そのため、鹿嶋市ふるさと納税返礼品のうち、生さつまいも、干し芋、焼き芋など、さつまいも関連が常に人気上位を占めています。

その中でも特に人気を誇るのが「鹿島焼芋」

鹿島焼芋の創業は令和3年(2021年)。
わずか数年で人気返礼品になった焼き芋を作る 鹿島焼芋 関口 肇 さんにお話を伺いました。

1.1 酒屋が始めた焼き芋屋

関口さんはもともと、お酒の販売と飲食店にお酒を卸す酒販店(リカー&フーズひしや)を経営するいわゆる”地元の酒屋”さん。現在も、店舗でお酒の販売と飲食店への卸し・配達をしながら、同時に鹿島焼芋も運営しています。

その地元の酒屋さんが焼き芋を始めたきっかけは、令和2年(2020年)からのコロナ禍で取引先の飲食店が次々と休業し、経営がかなり厳しい状態だったときに受けた「感動体験」だったと振り返ります。

1.2 また「美味しい!」という言葉が聴きたくて

当時(令和2年)、コロナ禍で”暇”だったことから、知人に贈る焼き芋を「自分たちで試行錯誤しながら焼いた」ことが始まり。

前年(令和元年)にも、市内さつまいも農家の友人が焼いた焼き芋を贈ったところ、「こんなに美味しい焼き芋は食べたことがない」と非常に喜ばれた。
そこで令和2年は、同じさつまいも農家の友人から購入したさつまいもを、自分たちで焼いて贈ろうと思い立った。それを贈ったところ、また「とても美味しかった!」と喜ばれたのがとても嬉しかった!

と、関口さんは当時を振り返り、続けて

酒屋は酒蔵などで製品化されたものを仕入れて販売するでしょう。だから、普段は経験しないモノづくりの原点、”「美味しい」という言葉にすごく感動”した。
その感動体験がモチベーションとなり、より多くの人たちに「美味しい!」と言ってもらいたいと、焼き芋屋を始めた。

と、明かしてくれました。

1.3 美味しい焼き芋を焼くために

しかし、初めから順風満帆というわけにはいきませんでした。

「美味しい焼き芋を食べてもらいたい」という想いから、使用する焼き芋機を試行錯誤。やっとの思いで納得のいく焼き上がりになる焼き芋機に出会えたときには、心から喜びました。

ただ、コロナ禍で本業の酒屋の経営は厳しい状況。
国の事業再構築補助金を申請するも、補助金が支給されるのは1〜2年後、「その間の設備を整える資金を調達するのが大変だった」と振り返ります。

そして令和3年、何とか開業にこぎ着けることができ、今や人気の焼き芋屋に成長しました。

しかし、関口さんはインタビュー中も「まだまだ勉強中。諸先輩方にいろいろ教えてもらって、試行錯誤している」と何度も繰り返します。

その理由は、焼き芋への並々ならぬ”こだわり”にありました。

2 焼き芋へのこだわり

鹿島焼芋で使用するさつまいもは「紅はるか」。

紅はるかの焼き芋は、滑らかでねっとりとした口当たりで、甘みが濃いのが特徴。しかし、収穫してすぐは甘くありません。
適切な温度・湿度で熟成(追熟)することで、でんぷんが糖に変化、さらにじっくりと時間をかけて焼くことで、いわゆる蜜たっぷりの焼き芋になります。

「熟成方法は企業秘密(笑)」と笑顔を見せつつも、すこしだけ教えてもらいました。

温度や湿度の管理がとても重要。
暑すぎても寒すぎてもダメ。例えば、9℃以下の環境で保存すると、低温障害を起こしてしまい、黒ずんでしまい食べられなくなる。
暗所で一定の温度に保つのが基本だが、ずっと一定の温度で貯蔵すれば良い、というものでもない。それでは普通の芋にしかならず、「本当に美味しい芋」は、またさらに工夫が必要。
現在も、さらに美味しくなるように、勉強しながら試行錯誤を重ねている。

焼き芋自体がシンプルなため差別化が非常に難しい。しかし、貯蔵方法によって焼いたときの出来は大きく変わるため、「差別化できる唯一の方法」だといいます。

2.2 1本ずつ洗うことへのこだわり

また、鹿島焼芋の特徴の1つとして「皮まで安心して食べられる」という点。

さつまいもは水分に弱く、水に濡れた部分から傷んでしまうため、土がついたままで貯蔵します。それを焼き芋にする直前に、1本1本ていねいに水洗いします。

さつまいもの水洗いにも、こだわりが詰まっており、

収穫時に通常は切ってしまうさつまいもの先端も、契約農家さんには、通常よりも長めに残してもらうようにお願いしている。そして、1本ずつ洗い機で洗う際に、絡んだり、ほかの芋を傷つけないように切っている。
切った部分から傷みが進行するため、少しでも鮮度のいい状態を保てるよう長めに残すよう配慮している。

と明かしてくれます。

取材日(2024年12月12日)の朝は、今シーズン初の冬日。
その寒さの中、水を絶えず流しながら1本ずつていねいに洗うと、濃い赤紫色のさつまいもの姿が!

洗ったらすぐ、次の工程に入るまでの短い時間でも、温度の高い日なたに移動させます。その理由は、冷たい水で洗うと『芋も風邪をひいちゃうよ』とのこと。低温障害を起こさないよう、細心の注意を払っているのが分かります。

1本ずつ、ていねいに洗った後、次の工程のスタッフに引き渡されます。

2.3 焼きへのこだわり

焼きの工程のスタッフに引き渡されたさつまいもは、まずは検品。

①一本ずつ回しながら全体を視て、病気や虫食いなどがないか確認。
②両端をカットし、その断面から「中身の状態を確認」

実は①②の工程が一番大事。
状態が悪いものを見分けるためには、集中力が必要で、担当スタッフ2人とも決して無駄話はしていない。もし見逃してしまった場合、焼いた後だと、見分けがつかなくなる。
そのようなことがないよう、徹底して選別することを心がけている。

と、知られざるこだわりを明かしてくれました。

①②の工程をクリアしたものをS、M、Lサイズごとに仕分け

また、鹿島焼芋の蜜たっぷりに焼くこだわりは、約200度前後で約1時間30分かけ、じっくり、ゆっくりと焼き上げること。
じっくり焼くことで、さつまいものでんぷんが麦芽糖という糖に変化。さらに濃縮すると、染み出した糖がまるで水飴のように甘い、いわゆる「蜜たっぷり」の状態になります。

このときの、さつまいもの身と皮の間の隙間が、甘みが濃縮され水分がうまく抜けた証。うまく焼けると皮が「ふわ~っ」と膨らんでいく。
その、ふわっふわっの皮の状態を皆さんにも見てほしくて、箱詰めにもこだわっている。

と言葉に力が入ります。

2.4 箱詰めへのこだわり

箱を開けた瞬間に、焼き芋がきれいに並び、皮がふわ~っとしているところを見て驚いてもらいたい。

そう話す関口さんの顔がほころびますが、現実は、その”ふわっ”とした状態で配送するのが非常に難しいそう。

ねっとりと焼いた焼き芋はやわらかく、荷崩れしてしまう。
最低限「きれいに並んだ焼き芋を届けたい」と、箱の中身を上下をプチプチで挟むなどして荷崩れ対策をしているが、「理想のふわっとした状態で届けられないのが悔しい」

と悔しさを滲ませます。

その姿からは、焼き芋への並々ならぬ”こだわり”をひしひしと感じます。

3 関口さんの”こだわり”と”想い”は、スタッフにも伝播し

鹿島焼芋は本店のほか、鹿島神宮の門前付近にも鹿島神宮前店を構え、多くの参拝者も立ち寄るスポットになっています。
もちろん鹿島神宮前店でも、本店同様に、徹底した検品・焼き・箱詰めを行っています。日々、多くの方と接する鹿島神宮前店のスタッフにもお話を伺いました。

3.1 鹿島神宮前店 ・ 酒井綺乃(あやの)さん

鹿島神宮前店のスタッフ、酒井さん(左)と高橋さん(右)

同店舗で勤務して2年半という酒井さん。
もともと焼き芋を食べる機会も少なかったと話しますが、勤務するようになり、焼き芋に対するイメージも大きく変わったと言います。

さつまいもの種類や作る環境、農家さん、畑によって、焼き上がりも味も、少しずつ違うので、毎年、さつまいもの季節がとても楽しみ。特に鹿島焼芋は、それぞれのお芋の良さを最大限に引き出しており、焼き芋が好きになるきっかけにもなった。鹿島焼芋の焼き芋が一番おいしいと思うからこそ、自信をもって店頭で販売しています!

そう話す酒井さんに、今年の焼き芋のPRとおススメの食べ方を伺いました。

12月12日現在では、まだ熟成が進んでいない芋もあるが、その中でも、ねっとり食感の中にホクっとした部分もあり、しっかりとした甘みもある「新芋ならではの食感」です!これから熟成がさらに進めば、全体がさらに「ねっとり・とろとろの食感」になります。
店舗でお渡しした試食を食べて「美味しい!」と言っていただけるのが、モチベーションアップになります。
また、「友だちから美味しいって聞いたから」と来店される方や、「ふるさと納税で食べて美味しかったから」と遠く九州から来店される方もいて、改めてより美味しい焼き芋を提供したいと思っています。
私個人のおススメは、ちょっと温めるだけ。もちろん、冷たいままでも甘くて美味しいですが、温めるとお芋本来の甘さ(砂糖も一切使用していないのに、すごく甘い)を感じます。

3.2 鹿島神宮前店 ・ 高橋知江(ともえ)さん

「もともと焼き芋が好き」だと話す高橋さんは、勤務してから何よりも驚いたのは、「焼き芋に対する”こだわり”とサービス精神」だと言います。

商品として提供する焼き芋はもちろん、試食用の焼き芋についても、美味しいものを渡せるようにしっかりと選別しているのを知り驚いた。
品種はすべて「紅はるか」だが熟成期間の違いなどから、ほくほく食感から、ねっとり食感までの焼き芋が店頭に並ぶこともあるため、店頭にある時は好みで選ぶことも可能。また、今の時期の焼き芋は、今秋に収穫された新芋なので、新芋特有の「ホクっ」とした食感は今だけの魅力かもしれません。

と笑みをこぼします。
また、店舗で行う検品や焼きの工程について伺うと、

さつまいもはすごくデリケート。
切り口や全体の状態などをしっかり確認し、選別してから焼くように心がけている。最後の砦だと思って、病気のものや虫食いのものがお客様のもとにいかないように、とても気を付けている。

と真剣な眼差しになる姿を見て、全スタッフが焼き芋の品質に一切の妥協なく取り組んでいるのを感じました。

最後に、高橋さんのおススメの食べ方を伺うと、笑みをこぼしながら、

友人には「えーっ?!」と驚かれますが、個人的には、ねっとりした焼き芋を(プレーン)ヨーグルトと1:1で食べるのが好きです。
冷凍の焼き芋を使うと、焼き芋がアイスのようになって美味しい!

と、意外な食べ方を教えてくれました(笑)

4 「美味しい」という言葉が原動力

鹿島焼芋 関口さんに今後の取り組みについて伺ったところ、こっそりと教えてくれました。

酒屋だけの頃は、常連さんや飲食店さんとの付き合いだったが、今は焼き芋を通じて子どもからお年寄りまで広く繋がりができたのが、まずはうれしい。さらに、令和6年は市内中学生とコラボした「焼芋アイス」の提供を開始し、多くの人から「美味しい!」と聞くことができて非常に嬉しかった。

”「美味しい」という言葉にすごく感動”し、それがモチベーションとなり、周りの諸先輩方に教えてもらい、試行錯誤を繰り返して、なんとかやってこれたが「まだまだ勉強中!」なのは変わりない。
今は契約農家さんからさつまいもを購入しているが、令和7年は、契約農家さんから購入しつつも、自分たちでもさつまいもの栽培をしたいと考えている。
自分たちで栽培したさつまいもで作った焼き芋を食べてもらい、「美味しい!」という言葉を聴きたい。

と、とても穏やかで優しい笑みを浮かべていました。

5 新商品情報

焼芋焼酎🍠🍶

令和6年12月に登場した新商品。
「酒屋が始めた焼き芋なのに、焼き芋を使った芋焼酎がない」という声を多くいただき、県内の来福酒造さんと一緒に、鹿島焼芋の焼き芋を使った「焼芋焼酎」を開発しました。

注いだコップからは、香ばしい焼き芋の香り。 
一口飲むと、辛口の中にも焼き芋のまろやかな甘さが感じられ、かつ、すっきりと飲みやすい。芋焼酎が得意でない方も、すんなりと飲める焼酎に仕上がっています。

焼芋焼酎への想い

鹿島焼芋で焼いた焼き芋を100%使用しているのがこだわり。
芋焼酎が好きな方も、得意でない方も楽しめる。
「鹿島焼芋の焼き芋と一緒に飲んでもらいたい」との思いから、焼芋焼酎と焼き芋のセットも販売開始しました。

焼芋焼酎は、今後、ふるさと納税でも提供できるよう準備中です。
すぐにお求めの方は、下記 鹿島焼芋(本店)で!

焼芋アイス🍠🍨

市内中学生が考案し、市長に直接提案したアイディアを、コラボして商品化しました!
中学生たちは考案するだけでなく、味のアンケート調査やデザインの市場調査、令和6年10月の販売開始以降は、鹿島アントラーズの試合日にスタジアムでPRするなど、密接に関わりながら携わっています。

焼芋アイスの味は、ミルクアイスに鹿島焼芋のこだわりの焼き芋の甘みと香りが絶妙にマッチした「ここでしか食べられない」アイスに仕上がっています。

お求めは、下記店舗で!

6 【店舗情報】

鹿島焼芋(本店)
〒311-2213 茨城県鹿嶋市中3501
営業時間:8時00分~19時00分
定休日:日曜日

鹿島焼芋(鹿島神宮前店)
〒314-0031 茨城県鹿嶋市宮中1-8-22
営業時間:9時00分~18時00分
定休日:月曜日

7 【鹿嶋市ふるさと納税の返礼品ページ】

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