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山形の伝統技術をみんなの力で未来へ!商品開発プロジェクト!

カテゴリー:伝統・文化・歴史 

main_img 達成

寄付金額 7,866,000

170.4%

目標金額:4,616,000

達成率
170.4%
支援人数
226
終了まで
受付終了

山形県酒田市(やまがたけん さかたし)

寄付募集期間:2023年11月1日~2024年1月29日(90日間)

山形県酒田市

プロジェクトオーナー

酒田市では、本市伝統工芸の技術承継と魅力発信を目的に、ふるさと納税制度を活用したクラウドファンディングを実施します。
市は集まった寄附金から手数料等を除く額を事業者に交付し、事業者は後継者育成及び新商品開発のための設備投資を行います。

美しき日本の伝統工芸品、そこにある職人の高度な技術を、先人たちの思いと共に私たちが次世代につなぎます。
みなさまの応援が力になります。温かいご支援をどうぞよろしくお願いします!

ごあいさつ

プロジェクト提案者 | 加藤木工 加藤 渉

自ら復興・製作した「酒田船簞笥」

山形県酒田市にて伝統工芸品「酒田船簞笥(さかたふなだんす)」の製造復興に挑戦している加藤木工の加藤 渉さん。4代に渡り船簞笥の製造工程のひとつである指物(さしもの)を継承しています。指物とは、釘などを極力使わず、木材板をホゾを用いて組み立てる技術を言います。指物師のほか、木工作家 wotak としても活動し、海外展示会への出展なども行っています。

加藤木工が酒田船簞笥を製作する様子は、下記の動画からご覧になれます。

酒田船簞笥とは

北前船の国内最大1/2スケールの模型船(酒田市・日和山公園)

「船簞笥」はその名のとおり、船の中で使用するタンスのこと。江戸~明治にかけて日本海側で運航されていた北前船に積み込まれ、金品や証文などを保管する金庫のような役割でした。堅牢、頑丈でセキュリティ万全。さらに船主の財力を象徴する装飾が施され、まるで美術品のような美しさ。何より、北前船が遭難しても船簞笥は海に浮くよう綿密に設計されています。
まさしく「船簞笥」は、職人たちの技術の粋を結集してつくられた傑作です。

酒田船簞笥

船簞笥の外装は硬い木材の欅で作られ、そこに鉄で作られた装飾金具を取り付け、漆塗で塗装されています。中の引出しは桐で作られ、外装との隙間は0.2mmとほとんどありません。
そのため水面に落ちると、桐が膨張して引出しと外装の隙間が無くなり、内部にあった空気は外に抜けることがありません。そして装飾金具が多い表扉側が重力によって海底側に向くことで、引出し内部の空気が浮力となり、浮き続けることができたと言われています。

新潟県・佐渡、福井県・三国、そして山形県・酒田は船簞笥の三大名産地とされています。
酒田産の特徴は、「丁寧で緻密な指物技術」「木目の美しさを際立てる漆塗」「分厚く堅牢な装飾金具」と、堅牢で引き締まったデザインにあります。

後継者がいない…途絶えてしまった技術

酒田船簞笥は 「指物」・「装飾金具」・「漆塗」 の分業制で作られます。しかし高齢化により職人は激減し、指物業を営む加藤木工が製作を止めれば「酒田船簞笥」の伝統は消えてなくなる状況でした。
加藤さんはそのような状況に危機感を感じ、次世代に酒田市の高い製作技術を伝承するためには「船簞笥製造復興」が必要と考え、2019年より自身が指物技術を伝承するとともに、装飾金具職人・漆塗職人の復活に向けて活動を始めました。

<指物師の承継>
指物は酒田市で唯一、加藤木工が4代に渡り製作技術を保有。船簞笥の繊細な設計には、指物技術は大変重要な存在ですが、加藤さんが承継しなければ途絶えてしまったかもしれない危機的状況でした。しかし残念ながら次の後継者は不在。このままではいずれ途絶えてしまう可能性があります。

<漆塗職人の復活>
酒田で長年船簞笥を販売していた漆塗職人は、残念ながら10年ほど前に亡くなられ、漆塗技術の承継は途絶えていました。そこで加藤さんは、酒田市内にいる塗装の腕を持つ職人に何度となく懇願。ついに2021年、ご協力頂けることとなり、酒田船簞笥の製造を再開することができました。しかし一旦は途絶えた技術、再興することができても継続できなければ未来は同じです。

<装飾金具技術の承継>
分厚く堅牢な装飾金具を製作できる腕の良い職人は、50年ほど前から酒田にはいません。しかし加藤さんが探し続けた結果、酒田市内で製造方法を知り得る職人と出会うことができました。ただ87歳という高齢であり、かつ後継者がいないことから事業再開の目途が立っていません。装飾金具技術が引き継がれなければ、「酒田船簞笥」を復興することができないのです。

技術を未来へ!後継者を育成するために、私たちが今取り組むこと

(1)酒田の美しく貴重な財産である「船簞笥」を世界へ発信!

残念ながら「船簞笥」を知る人は、日本人でもかなり少ないのではないでしょうか。職人技を現代につなぐ貴重な財産であるにもかかわらず、
知らない → 買う人がいない → 売れない → 作る意味がない → 作らない → 職人がいなくなる
認知度不足は、このような悪循環を招く源となり、加藤さんはこの状況を改善するために何かできないものかと思案しました。

多くの縁をつないでくれた 加藤木工「ねこけし」

そこでまずは、「船簞笥」の認知度不足を解消するため、SNSで情報発信。特にInstagram に注力しました。(加藤木工インスタグラム:https://www.instagram.com/wotak/)
また、より木工品に興味を持ってもらえる方法はないかと考え、新たに木工旋盤に挑戦。ネコ型のこけし「ねこけし」を開発します。

その「ねこけし」、Instagramに掲載したところ、なんと県内のテレビ・新聞・ラジオに取り上げられ、自身が取り組む「船簞笥復興活動」のPRにつながる結果となり、さらに東京の美術関連会社にお声掛けされ、2022年6月、フランス・パリで開催された「11th DISCOVER THE ONE JAPANESE ART 2022 in Paris」に出展。審査員特別賞を受賞しました。(作家名:wotak、作品名:「酒田市の木工職人技、現在と過去」)

11th DISCOVER THE ONE JAPANESE ART 2022 in Paris 受賞者発表

(2)新たな挑戦へ!ねこけしに次ぐ新商品の開発

次に目指すのは、「ねこけし」に次ぐ新たな商品の開発です。ニーズの変化を捉え、生活の中でも使ってもらえるような新たな商品の開発を検討した結果、着目したのは「丁寧な暮らし」。 使い捨てが当たり前になってしまった現代で、陶器などの天然素材で作られた質の高い商品を大切に使おうとする意識の高まりです。SDGsの達成に向けた取り組みの加速化もあり、このような動きはさらに拡大するのではないでしょうか。伝統工芸品の魅力は、何年も使い続けられる丈夫さと、もし壊れても修理することで新たな魅力が生まれる点であり、現代のニーズとも一致するのではないかと考えました。そこで木工食器という新たな分野へ、これまで培った技術を活かして挑戦します!

(3)可能なところは機械化を!未来へつなげる一歩

新たな挑戦となる新商品は、なるべく購入しやすい価格帯であること、安定供給できるようにすることで、みなさまが手に取りやすいものにしたいと考えました。しかし職人が手作業で製造すると生産量が限られ、どうしても高価なものとなってしまいます。そこで可能な工程は機械化しつつ、伝統工芸の魅力である唯一無二となる重要な部分は職人による手作業を残すといったバランスを取り、安定供給かつ手に取りやすい価格帯を目指すことにしました。また一部を機械化することで、商品のプロモーションやマーケティングなど、作ること以外にも取り組むことができるようになります。増えた収益と、機械化により生み出された時間は、職人の育成や技術伝承の活動に活用することができます。

集まった資金で行いたいこと

機械を導入して新たな商品を製作します

【寄付金の使い道】
新たな商品の製作にかかる機械の導入費用に充てさせていただきます。

【事業実施のスケジュール】
・2023年11月:クラウドファンディング開始
・2024年1月:クラウドファンディング終了
・2024年4月:機械設置・試作開始
※目標金額に達しなかった場合でも、事業は実施予定です

機械を導入して新たな商品を製作します

今、私たちが目指す先は

経済産業省「伝統的工芸品」の認定

現在、加藤木工にて製作できる船簞笥は市販品の装飾金具を取り付けております。そのため、古くに作られていた船簞笥のような堅牢な雰囲気を満たすまでには至っていません。復興には、伝統技術を承継して作られた装飾金具が不可欠です。

また、経済産業省では、一定の要件を満たし伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号、以下「伝産法」という)に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品を「伝統的工芸品」と認定しています。今の目標は、「酒田船簞笥」がその認定を受け、国から「伝統的工芸品」として認めてもらうこと。それにより、より多くの方々に「船簞笥」を認知していただけると考えています。またこのような評価をいただくことで、他に誇れる酒田の魅力の1つとなり、地域への愛着につながるのではないでしょうか。そのために、1つ1つできることから取り組んでいきます。

酒田市の思い

酒田市長 矢口 明子

写真

北前船の往来により繁栄してきた酒田市ですが、その歴史文化の一部である「酒田船簞笥」製造技術が今や存続の危機にあります。
このような中、プロジェクト提案者である加藤さんは、伝統工芸の承継という荒波に自ら飛び込み、「酒田船簞笥」の復興とその魅力発信に精力的に取り組んでおられます。海外での美術品展示会への出品、同じく海外で開催された北前船寄港地フォーラムでの展示・解説、さらに製品の輸出といった活動に対し、本市も支援させていただくことで、この貴重な技術を後世に残していきたいと考えておりますので、みなさまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

プロジェクトに携わる思い

加藤木工 加藤渉

■酒田船簞笥を未来へ

写真

次世代継承を望まれ『酒田船簞笥』の製造復興に挑戦し、気がつけば4年が経過しています。この間に、技術協力して頂ける企業様が増えたり、「装飾金具の金属加工に挑戦してみたい。」と学生さんから声を掛けて貰えるなど、共感の輪が拡がっています。良い方向に向かい始めた後継者育成を加速させると共に、『酒田船簞笥』に関わる全ての関係者が持続可能な基盤を築くため、これからも尽力して参ります。

お礼の品の紹介

酒田船簞笥 製造技術を活かした酒器

酒田船簞笥 製造技術を活かした酒器(画像はイメージです)

酒田船簞笥の堅牢で引き締まったデザインを模して作った「酒器」。
庄内産欅を使い、酒田船簞笥の製造技術を使い、手にしっくりと馴染むフォルムに仕上げた「ぐい呑みと徳利のセット」です。(単品もあり)
木工製品に金具が付いた食器は、かなり珍しいのではないでしょうか。経年変化も楽しむことができ、長く使い続けるにつれ、世界に一つだけの味わい深い食器となります。
お酒が好きなご家族や大切な方への贈り物としても最適です。

【注意事項】

お礼の品は順次追加いたします。

  • 2024年04月25日 12:30

    一次試作完成

    この度は、本当に多くの皆さまより、本プロジェクトにお力添えをいただき、誠にありがとうございます。

    2月16日に搬入された切削機械にて試作を始め、予定より遅れてしまいましたがなんとか一次試作が終了しました。

    金具のデザインは船簞笥と合わせるため「唐草紋様」を採用しています。
    金具の曲げ加工が、このデザインを採用したことから想定以上に難しくなり、材質を変更することにしました。
     金属:鉄 → 銅

    材質を変更しても、木部と金具の接着に距離ができてしまう部分があるため、触感で違和感を感じます。
     離れている部分の距離:0.5mm程度
    発売までに、この距離を縮める施作を行います。

    試作の様子はこちらでご報告いたしますので、引き続きご声援のほど、よろしくお願いいたします。

    もっと見る

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山形県酒田市

<北前船で栄えた湊町>
山形県酒田市は、北に鳥海山、南に月山を望み、雄大な庄内平野の中央を流れる最上川の河口に開かれた湊町です。
かつて江戸時代、酒田をはじめとする日本海や北海道の港から、江戸や大阪に向けて米や魚、特産物などが船で運ばれていました。当時、津軽海峡を通り江戸へ向かう「東廻り航路」と、瀬戸内海を通って大阪~江戸へ向かう「西廻り航路」がありましたが、東廻り航路は黒潮の流れに逆らって進まなければならず、大変危険な航海でした。しかし西廻り航路では冬期間を除いて安定した航海ができ、また荷物を安く運べたことから、盛んに利用されるようになりました。
西廻り航路を走る船は「北前船」と呼ぶようになり、荷物と共に様々な文化も運びました。
酒田は町人が中心となる自由の気風が溢れる町となり、今でも随所において北前船の寄港地として繁栄した歴史・文化が残る街となっています。