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酪農家が作った乳業メーカー〜よつ葉乳業と士幌町の酪農家特集〜

北海道に本社を置く乳業メーカー・よつ葉乳業株式会社(以下、よつ葉乳業)は1967年に十勝に工場を構え、創業しました。士幌町のふるさと納税によつ葉乳業の製品が選ばれているのには、よつ葉乳業設立の背景に士幌町の酪農家が大きく関与していることも一つの理由です。

時代は遡り、1960年前後。よつ葉乳業の創業者であり、当時、士幌町農業協同組合(以下、士幌農協)の組合長だった太田寛一氏は「どうしたら農民の暮らしが楽になるのだろうか」を常に考えていました。そして、たどり着いた答えが「農民自身が農産物の加工を手がけ、より高い付加価値を付けて販売する」ということだったのです。

当時、酪農家は「生乳の価格(以下、乳価)」が不安定な状況が続き、苦難の連続。市場を独占状態だった当時の乳業メーカー各社から乳価を下げられたり、買入拒否が起こることもありました。酪農家は牛の性質上、牛の乳を絞らないといけないので、乳価を安定した価格で買い続けてもらうことができなければ、日々の努力が報われない苦しい経営になりかねず、頭を悩ませていたのでした。

そこで立ち上がったのが、太田寛一氏。「酪農家自身が地域の乳業メーカーに出資し、生産から加工、流通まで一体となって取り組んでいく。」という目標のもと、近隣の農協に声をかけ、士幌農協をはじめとした8農協で、乳製品工場を建設しました。それがよつ葉乳業の前身となる、北海道協同乳業株式会社(現、よつ葉乳業株式会社)です。

よつ葉乳業は、酪農家が生産した牛乳を需給に関係なく、全て買い取れる体制を整えらるよう尽力しました。よつ葉乳業が目指したのは、酪農家から集めた生乳を新鮮な状態で保つ技術を高めることはもちろん、長期の保存ができない牛乳をバターや脱脂粉乳などに加工することで、消費需要に左右されることなく、酪農家が生産した生乳を受け入れるという体制を整えました。

酪農家は自分たちが生産した生乳を全て買い取ってくれる体制が整うことで、年間の売上計画が立てられる仕組みが揃い、生乳生産のために必要な牛の管理や設備の投資などに集中することができるきっかけを作ったのです。

時は流れて、40年以上経った現在も士幌町にある63軒の酪農家が生産した全ての生乳は、ホクレンを通して、全てよつ葉乳業が加工し、皆様の元へと届けられています。

「よつ葉乳業は北海道の酪農家の会社です」
よつ葉乳業のコーポレートサイトに記載の約束の通り、よつ葉乳業は今もなお、太田寛一氏をはじめ、士幌町の酪農家の想いを受け継ぎ、酪農家と共に美味しい乳製品を消費者の皆様のもとへと届けています。

※生乳
しぼったままで、加熱・殺菌などをしていない牛の乳。

よつ葉あっての酪農家、酪農家あってのよつ葉

よつ葉乳業を設立した当時の士幌町農業協同組合長の太田寛一氏をはじめとした士幌町の酪農家の精神は、今もなお士幌町の酪農家に残り、地域一体の取り組みとして受け継がれています。

士幌町には「士幌町酪農振興会」という士幌町の酪農家全軒が加入している酪農家の団体が組織され、地域全体で、安心安全な牛乳を消費者に届ける想いを持ち、生乳の品質向上に向けた取組を行っています。

その一つに、乳質(生乳成分の品質)の数値基準の達成に応じた奨励金制度があります。乳質は基準となる数値を業界として設け、どの酪農家であっても検査を行っていますが、さらに、士幌町酪農振興会では独自に高い数値基準を設けています。そして、設定した基準に達した生乳が生産できている酪農家に対しては、振興会から奨励金を出し、基準に達しない場合は、ペナルティーを課し、乳質改善に向けた取組みを実施する費用に回すという仕組みを取り入れています。頑張れば頑張るほど、酪農家の売上が上がる仕組みを作り、もし基準に満たさない場合でも地域一体となって改善に取り組む。酪農家にとってやりがいのある環境づくりを整えているのです。

酪農家のやりがいだけではなく、乳質の数値は、消費者への美味しさにも関わりがあります。生乳の中に存在する菌の数など、衛生的に生産されたかを測る数値、栄養素や風味などが把握できる成分的な要素を測る数値などが出るので、乳質が改善されると、安心安全な生乳であることはもちろんのこと、消費者に届く牛乳の美味しさにも直結するのです。

士幌町の酪農家が生産した生乳はホクレンを通して、全てよつ葉乳業に出荷されているので、最終的には各酪農家で生産された生乳は、混ぜ合わされて一つの牛乳として消費者に届くことになりますが、地域一体で取り組み、酪農家全体のレベルを向上させることで、よつ葉乳業や消費者との信頼関係を築く努力を続けています。

士幌町内で酪農を営む古田全利さんは「よつ葉あっての酪農家だし、酪農家あってのよつ葉。」といいます。

酪農家は生乳を生産して、それを1人で売り切ることが非常に難しい、だからこそいくつかの酪農家が集まって、生乳をまとめて乳業メーカーに販売することで、生産に集中できる体制が整います。一方で、乳業メーカーも酪農家が安定して生乳を作り続けることができなければ、商品となる乳製品を消費者に届けることができません。

生産に集中することができる酪農家は、より良い品質の生乳を追求し、加工販売を手掛けるよつ葉乳業は、酪農家と伴走しながら、加工技術を高め、消費者により美味しい乳製品を届ける。そんな強い関係性を古田さんの一言から垣間見えることができました。

「北海道のおいしさを、まっすぐ。」
よつ葉乳業のコーポレートスローガンにある通り、酪農家とよつ葉乳業の努力と技術が結集した、士幌町ふるさと納税のよつ葉乳業の製品ラインナップは、北海道十勝産の良質な乳原料を100%使用し、安定剤・乳化剤・着色料は不使用シンプルな原材料で作る、素材の風味を大切にした製品ばかりです。士幌町の全酪農家が取り組む努力の想いに馳せながらぜひ一度ご賞味ください。

美味しい生乳を作るために必要なこと

士幌町の酪農を営む古田牧場の古田全利さんは、士幌町内で長年、トップクラスの乳質を誇り、2018年からはよつ葉乳業と連携し、基準を満たした管理体制を整えた、生産者指定牛乳の酪農家の一軒として名を連ねています。

「よつ葉乳業を初め、士幌町酪農振興会の取り組みなど、酪農家としてチャレンジさせてもらえる環境をいただくのは大変嬉しい環境です。頑張れば頑張るほど、売上が拡大する可能性があるチャンスをいただけるのも嬉しいし、牛乳の乳質改善の最先端の取り組みに関わらせてもらうということも大変嬉しい機会です。」

よつ葉乳業の生産者指定や士幌町酪農振興会の一定の品質の生乳を生産するともらえる奨励金の仕組みは日々の酪農経営の励みになり、酪農家として安心して生産に集中できる体制があると古田さんは言います。

そして、日々の乳質の改善とは、どのようなことを行っているのか。その答えは非常にシンプルなものでした。
「それほど変わったことをしているとは思っていません。こまめに掃除をすること。搾乳をする時はしっかりと汚れを落とし、消毒をする。良い餌をその牛にとって適正量与える。牛にとって良い環境を整えてあげることをコツコツとサボらずに、日々取り組んでいくだけです。」

酪農の仕事は、すべての頑張りが牛の健康や乳質に直結すると古田さんは言います。実際に古田牧場での作業風景を見ていると、とにかく淡々と一頭一頭丁寧に牛と向き合い、作業を進めています。また牛の糞尿の嫌な匂いもほとんどすることなく、牛舎の汚れも気にならず、清潔な環境が牧場には広がっていました。

士幌町には、約70軒の酪農家が存在します。酪農経営のスタイルは、牛を500頭飼っている牧場もあれば、100頭の牧場もあります。規模だけでなく乳を絞る方法も牛の飼い方も考え方も牧場それぞれに異なり、酪農仲間とも全ての価値観が合うとは限りません。

「酪農の経営の方法は人それぞれ十人十色あるが、消費者にとって美味しい、安心安全に届けるということは共通の目標。各酪農家の生乳がまとめられて乳業メーカーに届き、その仕組みで私たちが支えられている以上、地域共通の目標を定めて目標達成していくことは、多くのメリットをもたらすと考えています。」

そして、地域の酪農家とよつ葉乳業と共に酪農の仕事に取り組む意味についても
「士幌町全体で、安心安全で安定した生乳生産をバランス良く供給することができれば、互いにいい時も悪い時も支え合える環境が作れる。その状態があることで、さらに安心感に繋がり、持続しやすい酪農経営となり、個々の生活の基盤も安定すると思っています。」

古田さんは僕の考えが全てではない、と言いますが、よつ葉乳業や士幌町酪農振興会の地域の取組は、創業者の太田寛一の「農民の暮らしはどうしたら楽になるだろうか」の理想にたどり着いた状態に近づいていると言えるのかもしれません。


(以下はラインナップ)