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2020/05/08 (金) 14:22

鰻と向き合った20年。そして、これからの 20年のこと。

鰻の一大生産地と名高い宮崎県。
その中央に位置する新富町に、町内最大級の規模を構える養鰻場があります。
中村養鰻場。
同養鰻場の代表取締役・中村哲郎さんは、今日も鋭いほどの眼差しで鰻を見ていました。

飛び込んだ世界は、生命をコントロールする仕事

養鰻をやる前、僕は東京のコンピューター会社で働いていました。
7年目に転勤の話が出た時、「このまま承諾していいのか?自分はこれからどうしたいんだ?」と真剣に考え、結果「立場を変えてみたい」と思い至りました。
それで、地元に戻って親父のやっていた養鰻をやることに決めたんです。

正直な話、親父が養豚をやってたら僕はいま豚を育てていたでしょう(笑)。
小さい頃から親父の後ろ姿を見ていましたからね。

そこからはプロとしてひたすら腕を磨く日々でした。
コンピュータはいつも決められた反応を返してくるけど、生き物は良くなったり悪くなったりする。悪い時にほったらかしても自然と良くなったりすることだってありますからね。

そんな生き物をこちらの決めたタイミングで仕上がるように育てなければならない。
生命をコントロールする仕事だったんですよ。

ひたすら前に向かっていくこと。それを僕は「面白い」と思った

プロとして始めると養鰻はすごく面白かったですよ。
うまくいかないことがあっても、不平不満を言ってる暇はない。
「どうやって実行しようか」ということだけ考えてやってきました。
鰻を育てるため、ひたすらやり続けていくこと。そこに僕はひきつけられたし、「面白い」と思ったんです。

「生き物を養うなんて大変でしょう」と言われたことがあります。
でも、自分が夢中になってやっていること、面白いと思っていることだから苦労に感じたことはないですよ。
これは養鰻をやっている人ならみんな同じじゃないかなぁ。

子育てだってそう。子どもの卒業式で号泣しているお母さん、いますよね。
あれは手塩にかけて育てた子どもの成長が嬉しくてたまらないことに加えて「私、ここまでやってきて良かったな」という涙だと思うんですよ。
それと同じ気持ちを僕は鰻に対して抱いているし、やっていることも子育てと一緒。

愛情をかけて鰻を育てて、その未来を案じて、そのために鰻を取り巻く社会や環境をよくしようとする。
ね、同じでしょう?

職人の目線、経営者の目線。

「職人のようですね」って言ってくれる方が結構いるんですが、今でも思うんですよ。
「自分は『職人』になりたいのか、『事業家』になりたいのか」って。
同じ鰻という業界でも、どんな立場で関わるかによって求められることが違うから。

「職人」として僕のことを観るのであれば、20年経ってもまだまだ自分の行きたいところには到達できていない、というのが本音です。

ひとりの職人として生きるだけならずっと鰻ばかり見ていればいいんだけど、経営者という立場になると、この「中村養鰻場」という場所と、そこで一緒に働いている人に対してもしっかり責任を持たないといけない。
だから鰻を始めた当初からは思いもしなかった部分で悩むこともありますよ。(笑)

でも、そこが一個人として養鰻をやる以外の面白さなんでしょうね。
「中村養鰻場と関わって良かった」と信頼してもらえるように、職人としても、経営者としても僕は頑張らなきゃいけないんです。

これまでの20年。そして、これからの20年。

20年、ずっと鰻のことを考えていると、「これはここまでが限界なんだな」と見えてきた部分もあります。
それを踏まえて、これからの自分ができることとできないことをちゃんと見極めていかないといけないですね。

僕の中では、これまでもこれからも「成長」がキーワードです。

以前、高校生が養鰻場に見学に来たことがあったんですよ。
その時、彼らから率直に「ここの鰻は他とどう違うのか?課題は何なのか?」と聞かれて、それを伝えるためのインパクトある一言を出せなかった。そのことがずっと僕の中の課題として残っています。

そりゃあ、自分の子どものように育てたものだから思い入れがありますよ。
でもそれは結局「おらが村のものだから一番だ」というだけ。
これからは伝え方、アウトプットを磨き上げないと生き残れない時代だと思います。

だから次の20年はその「うちの鰻の伝え方」に関する努力をしていくことになるのかな。
3、5、10年と続けていけば、できるようになっていくだろうと思っています。
ここまでだって20年、かかりましたからね。

どこまでもストイックで熱い中村さん。
その姿は、この先20年も変わることは無さそうです。

鰻の話をする度、中村さんは「母親業と同じものだから」と何度もおっしゃいました。
声を出さない鰻の様子を毎日見つつ、愛情をかけて、かけて、かけつづけて…。

食べた人が「美味しい!」と笑顔になるその日のために、今日も中村さんはあの真剣な目で養鰻場に立っています。

応援ありがとうございます!あなたの町のいいところも教えてくださいね!

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