2020/05/02 (土) 12:52

世界三大美女がもう一度愛する味を。

宮崎県新富町。美しい海と豊かな大地を有する約17,000人の小さな町で、1人の農家さんが国産ライチの生産を実現しようと挑戦を始めました。
ライチといえば、かの楊貴妃が愛したという高級フルーツ。平成17年から始まった生産への挑戦は、苦難と失敗の連続でした。しかし、その可能性を信じ、試行錯誤を繰り返し、研究と改良が続けられました。

そしてスタートから10余年、ついに農家さんの想いが実を結びました。
1玉がとても大きく、ジューシーで甘みと酸味のバランスの取れた果肉が特長の「新富ライチ」が生まれたのです。

研究に研究を重ねて

宮崎県にライチが初めて入ってきたのは、1975年。
農業試験場での研究が始まりました。
しかし、ライチは植樹してから採算が採れるようになるまで5年以上かかると言われていることや、安価な海外産の冷凍ライチが市場シェアの99%以上を占めているため、収益をあげることが難しいという課題がありました。

また、その当時、農業試験場で研究されていたのはサイズが小さな品種のライチ。同時期に入ってきた収益性の高いマンゴーの方に農家さんの注目が集まり、ライチにスポットライトが当たることはありませんでした。
その後も栽培の研究は続けられていましたが、長い間、個人レベルの栽培はあっても、ライチの本格的な栽培には至っていなかったのです。

一人の感動から、すべては始まった

そんな中、宮崎県新富町の農家・森泰男さんが、本格的なライチ栽培への挑戦を始めました。
平成17年のことです。それまで宮崎に入っていた実が小さな品種ではなく、「チャカパット」という大きな果実が特徴の品種にチャレンジしました。

ライチ栽培を始めて5年後。息子の森哲也さんが、父親(泰男さん)の作ったライチを食べ「こんなにおいしいものがあるのか!」と感動。
新富町の特産であった洋蘭「シンビジウム」の生産者だった哲也さんですが、「この味を多くの人に伝えたい」という想いから、農業人生のすべてをライチ栽培へと転換するほどの決意を固めたのです。

しかし、そこからが苦難と失敗の連続でした。
熱帯・亜熱帯で栽培されている果実であるライチは、日本での栽培が非常に困難です。
そして、ライチは「美味しい実を多く生らせる」ということ自体が非常に大変な植物なのです。
それに対して森さん(哲也さん)は、水の管理・温度調整・害虫被害などへの対策と改良を繰り返しました。その1つとして、マンゴーの栽培技術を応用しました。そして、養分や水分の吸収量・農薬・温度などの調整を行いながら、2014年からハウス栽培を開始しました。

「自信をもってお客様に出せるまで、10年かかった。」と、森さんは語ります。

ゴルフボールより大きいプレミアム

2017年、新富町役場が設立した地域商社「こゆ財団」が森さんとの協力の末、1粒1000円の国産生ライチとして「新富ライチ」のブランド化を実現。別名「楊貴妃ライチ」として全国にその名を広げ始めました。

私たちが普段目にするライチの99%ほどが、台湾・中国・メキシコなどの海外産ライチ。それらと比べて、「新富ライチ」は見た目から大きく違います。
最低基準は40g前後。さらにプレミアムな「1粒1000円」のライチは1玉50g以上!1本の木からわずかしか収穫できないライチのみを厳選しています。
まさに、国産ライチの最高峰です。

さらに栽培技術を改善し続けることで、海外産では実現するのが難しい味の品質管理を行なっています。果実を生らせるためにストレスをかけ過ぎず、ライチの木が元気であることは、高い糖度を維持する上で重要です。
「全てが健康であること」は、ライチづくりに限らず、森さんが農作物と向き合う上で大切にしている哲学なのです。

応援ありがとうございます!あなたの町のいいところ、ぜひ教えてくださいね!

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