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現代の名工が手がける 令和時代の新しい鍋島焼市川光山窯(いちかわこうざんがま)

〈窯元インタビュー〉第一九代:市川 光山さん

鉄釉の磁肌、そして完全フリーハンドで描かれた「麻の葉・七宝・紗綾形・亀甲」の端正な幾何学文様。この全く新しいスタイルの鍋島焼「黒鍋島」を手がけているのは、1級技能士・伝統工芸士の全部門の資格を持つ現代の名工、第一九代・市川光山さんです。

鍋島焼の主な作業には「ろくろ成形」「下絵付け」「上絵付け」があり、多くの窯元が分業体制を取っています。しかし市川さんは鍋島焼の技術を全て極めたいと、3部門それぞれに設けられた伝統工芸士と1級技能士の国家試験、つまり6つの試験に挑戦して見事合格。これら全てを取得したのは、市川さんが初めてなのだそうです。
さらに令和元年11月には、厚生労働省から佐賀県の鍋島焼の職人としては唯一「卓越した技能者(現代の名工)」として、加飾部門(絵付け)で表彰されています。

市川さんが令和元年から取り組んでいる「黒鍋島」は、静かに光る黒の素地へ朱色の細かな手書き文様が描かれた、全く新しいスタイルの鍋島焼。鉄釉をつかった作品は他の窯元でも焼かれていますが、そこへ下書き無しの完全フリーハンドによる吉祥文様を描いているのは黒鍋島だけなのだとか。

「朝廷や将軍への献上品は、“この世にひとつしかない素晴らしい作品”をお届けする必要がありました。というのも、下書きを行う=作品が二個以上ある大量生産品と捉えられてしまい、鍋島藩窯としてお作りする献上品としては相応しくないのです。そこで黒鍋島は下書き無しのフリーハンドで描く手法を採用。佐賀県の伝統工芸品として普及させるため、鍋島焼の特徴ともいえる緻密な絵付けを朱色で施しています」と話す市川さん。

「黒鍋島を立ち上げた背景には、後継者を育成したいという想いもあります。というのも、黒い磁器は若いろくろ職人でも失敗が少なく、売り上げに繋がりやすいから。そして黒い磁肌には墨で下書きを写すことが出来ないので、絵付師が頭の中で完成形をイメージしながらフリーハンドで描くことが求められ、技術向上にも繋がるのです」

黒鍋島は市川光山窯として登録商標も取得しています。ただし、作るための技術は全てオープンにし、他の職人にも惜しみなく伝えているのだそう。
「技術を全てオープンにしたのは、地域の新しい伝統工芸品として黒鍋島を普及させるため。博多の明太子が全国に知れ渡ったのは1社が技術や販路を独占しなかったからであり、同じように黒鍋島を多くの職人に作ってもらうことで地域に根付かせ、広く認知させたいのです。実際、今も若手職人が黒鍋島に取り組むことで、徐々に結果を出し始めています」

市川さんが目指すのは、江戸時代そのままの鍋島焼ではなく、かといって目新しいだけでもない、「江戸時代の鍋島がそのまま続いていたらこうなっているだろう」といった鍋島焼。ふるさと納税には黒鍋島をはじめ、息をのむほど美しい濃み(ダミ)表現や緻密な文様が施された色鍋島なども返礼品に提供いただいています。令和時代の「お殿様の献上品」を所有する悦びを、みなさんもぜひ味わってください。

市川光山窯
〒848-0025 佐賀県伊万里市大川内町乙1994
TEL:0955-23-2035
mail:kozan@m2.ihn.jp
営業時間9:00~17:00

市川光山窯の作品一覧