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鍋島焼の伝統技術を受け継ぎ、 発展させ、次の100年へ鍋島虎仙窯(なべしまこせんがま)

〈窯元インタビュー〉鍋島虎仙窯:川副 隆彦さん

江戸時代より代々青磁の制作と絵描きを任された家系にあり、鍋島青磁のよさを多くの方に知ってもらいたいと昭和38年に開窯した鍋島虎仙窯。先代が長年に渡って青磁焼成の研究をしてきたこともあり、品のある青磁釉の美しさに定評があります。

鍋島焼を100年後に残したいと画期的なアイデアを次々展開する、鍋島虎仙窯の三代目であり番頭 兼 絵師の川副隆彦さん。2017年に「鍋島焼文化の確立」というビジョンを掲げ、鍋島焼をより多くの人に伝えるため、産地全体を視野に入れたブランディングを始めたのだとか。

「青磁には3,000年の伝統がありながら美術品としての扱いがメインであったたため、多くのモノが溢れている現代社会においても、さほど流通が多くありません。これって実はブルー・オーシャンなのでは?と感じていて、僕らが鍋島青磁の市場を開拓し、鍋島焼全体の流通を活性化させたいと考えています」と話す川副さん。

「青磁の歴史をたどると、一点もののお茶道具や装飾品・美術品としての取り扱いが主流でした。というのも青磁は歩留まり(正規品の比率)が悪く、ビジネスとして成立させるのが難しかったから。じいちゃんたちが研究を重ね、鍋島天然青磁原石を使い安定して焼ける技法を生み出してくれたおかげで、今は日用食器のカテゴリーにも入ることができています」

電子レンジや食洗器も使用可能、現代のライフスタイルにもマッチする青磁のマグカップは人気も高いのだとか。
「調合した青磁を使っても決してこの色は出せません。これまで100円ショップの食器を使っていた方が、生活の質をワンランク上げて、もう少しよいものを使いたくなった時のタッチポイントとなると嬉しいですね」

川副さんは、日常使いしやすい青磁のうつわにフォーカスしたプロダクトブランド『鍋島虎仙窯』に加えて、色鍋島・藍鍋島・鍋島青磁といった鍋島焼の3つの特徴を現代的に解釈し、歴史にフォーカスしたブランド『KOSEN』を設立。アート色の強さからモード系ファッション誌で紹介されるなど、従来の鍋島焼とは異なったアプローチを展開しています。さらには産地にフォーカスしたWebメディア『鍋島藩窯百撰』も運営し、鍋島焼の魅力を世界へ発信しています。

「多くの美術館で重宝されている鍋島焼ですが、実際のところ首都圏で鍋島焼が購入できる場所はとても少ないんです。素晴らしい文化や歴史そして価値があっても、職人が鍋島焼で食べていけないままでは、後継者は育ちません。雇用を生み職人を育て、地域を元気にするためには何が必要か。伝統を守り技術を磨くのはもちろん、認知を高めて市場を広げ、持続可能な産地づくりを進めることが重要なんです」

地元の大川内山で採掘している天然青磁原石を使用する鍋島虎仙窯。他にも青磁原石が採れる地域はありますが、産業として残っているのは鍋島地域だけとも言われています。
「350年以上前から続き、じいちゃんたちが残してくれた技術を継承しながらも、いかに新しく発展させ、次の世代へ残していくか。発展する方向はもしかすると建築資材かもしれないし、最新テクノロジーと融合して全く新しいものに生まれ変わるかもしれません。大切な資源と文化を守りながら100年後へと続く仕組みを作りたいし、それが僕らの果たすべき役割だと思っています」
鍋島焼文化を受け継ぎ、発展させ、次の世代へ。川副さんの挑戦はこれからも続きます。

鍋島虎仙窯
〒848-0015
佐賀県伊万里市南波多町府招1555-17
TEL:0955-24-2137
営業時間10:00~17:00

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