新米をさらにおいしく!長岡産コシヒカリのおいしい炊き方
今年もやってきました新米の季節。毎日食べているごはんも、この時期だけはやっぱり特別です。日本全国いろいろなお米の品種がありますが、なかでも、おすすめしたいのは長岡産のコシヒカリです。 長岡で育ったコシヒカリをおいしくいただくには、炊き方も大切です。
米どころの新潟県の中でも有数のお米の産地・長岡市は、実は日本を代表するお米であるコシヒカリの故郷です。1944年、新潟県長岡市にあった新潟県農事試験場で誕生し、その後、福井県での育成を経て、「コシヒカリ」として品種登録されました。
長岡の水田は、信濃川が上流から運んできた肥沃な粘土質で、米づくりに必要な養分が豊富な土壌。そして、春には雪解け水が川へと流れこみ、農業用水として活用されるという、まさに米づくりにぴったりな環境なのです。
そんな長岡で育ったコシヒカリをおいしくいただくには、炊き方も大切。長岡市出身の炊飯系フードユニット、「ごはん同盟」のシライジュンイチとしらいのりこが、おいしいごはんの炊き方をご紹介します。
ポイントは、以下の5つです。
1・お米をきちんと計量すること
2・米とぎは、手早く、やさしく行うこと
3・炊く前にしっかりと吸水させること
4・冷たい水で炊くこと
5・炊きあがったら、すぐにほぐすこと
これを覚えておくと、ちょっとのコツで、新米ごはんがさらにおいしくなりますよ。
記事の後半には、長岡産コシヒカリでいただきたい、ごはんのおともと混ぜごはんのレシピも紹介しています。
ぜひ、つくってみてください。
1.お米をきちんと計量すること
ごはんを炊くときは、お米の分量に合わせて水加減を調節します。水加減が多ければ、やわらかく炊きあがりますし、逆に少なければかたく炊きあがります。ちょうどよい炊き加減にするためには、事前にお米の分量を正確に計ることが大切です。
米専用の計量カップに入れたお米は、箸などですり切って計ります。しかし、計量カップを使う場合、どうしても誤差が出てしまいますので、おすすめは料理用のはかりを使って重さを計るやり方です。「米1合の重さは150g」と覚えてください。
お米が苦手なのは、酸素・高温・湿気のある環境。できるだけ冷たいところに密閉して保存すると、そのおいしさを長く保てます。
ベストな保存方法は、密閉できるジッパーバッグや容器に移し替えて、冷蔵庫で保存することです。
お米が大量にありすぎて冷蔵庫に入りきらないというときは、直近で食べる分だけ冷蔵庫に移し、残りは、密閉して湿気の少ない場所に保管してみてください。
2.米とぎは、手早く、やさしく行うこと
精米した白米は、糠がほとんど取り除かれていますが、それでも米の表面にはまだうっすらと糠が残っています。おいしいごはんを炊くためには、この残った糠を取り除くことが必要。これが米とぎの目的です。
米とぎは、手早く3分以内に。使う水は水道水でOKですが、お米の栄養素が溶け出してしまうのでお湯は使わないでください。
最初に、米の表面の汚れを取るために米を洗います。水を入れて軽くひとまわし。さっと洗ってすぐに水を捨てます。お米は水に触れた瞬間から水を吸い始めるので、汚れた水に触れている時間をできるだけ短くしてくだい。
続いて、米を研ぎます。ソフトボールを握るぐらいの大きさに指先を開いて、水を切った状態でお米をシャカシャカと大きくかきまわして研ぎます。回す回数の目安は、10~20回。米同士をこすり合わせて摩擦の力で米の表面に残った糠をはがすイメージです。そんなに力を入れる必要はありません。
ボウルの底をみると、水が白く濁っているのがわかります。水を注いで、濁った水を流したら、もう一度、水を切った状態でお米をシャカシャカと10~20回ほど大きくかきまわして研ぎます。
次に水ですすいだときに、米がうっすらと透けるぐらい白く濁っていても大丈夫です。「水が完全に透明になるまですすがなきゃ」と思いがちですが、そこまでやるとすすぎ過ぎです。
最後に、米をザルにあげて水を切ります。ザルにあげたお米をそのまま放置しておくと、乾燥して割れやすくなるので20~30秒ほど置くぐらいで十分です。
3.炊く前にしっかりと吸水させること
といだお米に吸水させることは、おいしいごはんを炊くための必要な大事な工程です。お米を水に浸すことで、お米の芯まで水が行き届き、ふっくらとした炊きあがりになります。
米を水に浸しておく時間は、夏の時期で30分~1時間、冬の時期で1~2時間がよいと一般的に言われています。この時間の違いは、温度によってお米の吸水率が異なるため。同じ時間で比べると、水の温度が冷たいほどゆっくりと時間をかけて水を吸います。
おすすめは、冷蔵庫での吸水です。保存容器にといだ米と水を入れ、冷蔵庫に2時間くらい入れておくと、米の芯までちょうどよく吸水がすすみます。
電気炊飯器で炊く場合は、炊飯器が吸水を自動的にやってくれるので、事前の吸水は不要です。といだお米をすぐに内釜に移して、炊き始めましょう。
4.冷たい水で炊くこと
ごはんを炊くときの水の温度も重要です。常温の水を使ってもよいのですが、冷たく冷やした水を使うと、さらにおいしく炊きあがります。
その理由は、冷たい水で炊くとお米の酵素が長時間働くため。お米に含まれるでんぷんを分解する酵素は、30度前後の温度帯で活発に働きます。冷たい水で炊くとその温度帯の時間が長くなるので、ごはんのうまみが十分に引き出されるのです。
冷蔵庫でお米を吸水させた際は、お米と一緒に浸けて冷たくなった水も使って炊いてみてください。鍋でご飯を炊くときの水分量は、鍋の種類のよって異なりますが、おおよそ1合あたり180~200ccが目安です。
炊飯器で炊くときの水分量は、内釜の目盛りにあわせて。この水分量でやわらかく炊ける場合は、水を少々減らして試してみてください。
5.炊きあがったら、すぐにほぐすこと
ごはんが炊けて、蒸らし終わったら、炊飯器や鍋の中に残った余分な水分を飛ばすために「飯返し」を行います。水分を飛ばすことで米粒にハリが生まれ、粒立ちのよいごはんになります。
しゃもじで炊き上がったごはんに十字の切れ込みを入れ、しゃもじを入れてブロック毎に底からひっくり返すようにほぐします。
大半の電気炊飯器には蒸らし時間も含めてプログラムされているので、炊きあがりのアラームが鳴ったらすぐにほぐしてOKです。
長岡産コシヒカリで食べたい、ごはんのレシピ
ごはんのおとものレシピ:「甘辛豚バラ大根」
<材料(1~2人分)>
・豚バラ薄切り肉 2~3枚(75g)
・大根 4cm幅(100g程度)
・しょうが(千切り) 1片
・ゆずの皮(あれば) 適量
A
・醤油、みりん、酒 各大さじ1
・砂糖 小さじ2
・水 1/4カップ
<作り方>
1.豚肉は2㎝幅に切る。大根は5mm幅の千切りにする。ゆずの皮は千切りにする。
2.フライパンに豚肉を入れて強めの中火で熱して、箸で崩しながら2分ほど炒める。豚肉から脂がでてきたらペーパータオルで拭き取り、大根としょうがを入れる。
3.Aを加え、汁気がなくなるまで3分ほど炒め煮にする。
混ぜごはんのレシピ:「ひじきとちりめんじゃこの混ぜごはん」
<材料(1~2人分)>
・温かいごはん 1合分(330g)
・乾燥ひじき 5g
・ちりめんじゃこ 20g
・油揚げ 1枚
・小松菜 1~2本(30g)
・にんにく(みじん切り) 小さじ1
・オリーブオイル 大さじ1
・赤唐辛子(輪切り) 小さじ1/2
・塩 適量
<作り方>
1.ひじきはたっぷりの水でもどし、水けをよく切っておく。油揚げは短辺を2等分に切り、7mm幅に切る。小松菜は細かく切る
2.フライパンにオリーブオイル、にんにく、ちりめんじゃこを入れて弱火で熱し、香りがたったら赤唐辛子、ひじきを入れて炒める。ひじきの水分が飛んだら、油揚げ、小松菜を加える。小松菜の色が鮮やかになったら、塩で味を調える。
3.温かいごはん(できれば炊きたてのもの)に2を混ぜ合わせていただく。
(プロフィール)
ごはん同盟/
試作係のしらいのりこ(調理担当)と試食係のシライジュンイチ(企画担当)の夫婦ふたりによる炊飯系フードユニット。ごはんのおいしさを提唱しつつ、ごはんをおいしくするおかずの研究も行う。雑誌を中心にレシピを発表するほか、炊飯ワークショップや料理教室なども精力的に開催。近著に『これがほんとの料理のきほん』(成美堂出版)、『しらいのりこの絶品! ご飯のおとも101』(NHK出版)などがある。