「オーガニックビレッジ」宣言都市・徳島県小松島市

　小松島市の農業は、勝浦川、那賀川の両流域に広がる肥沃な土壌と恵まれた気象条件のもと、水稲を主体に施設園芸や畜産、山間丘陵地帯での果樹など多様な農業生産を展開しています。関西圏に近いという立地条件から、都市部の消費者ニーズの高い「安全・安心」な農産物の提供が求められています。
　一方、農業者の高齢化、担い手不足、自然災害の増加、生産資材の高騰及び農産物価格の低迷など、農業を取り巻く環境は一層厳しくなっています。
　このような中、需要の高まっている有機農産物について、生産から流通、加工、消費までの一貫した地域ぐるみの取組を推進し、安定した農業生産ができる体制づくりに取り組む必要があります。

　環境保全型農業直接支払交付金事業において、有機農業の取組を行う市内農業者は、令和３年度末現在で２８経営体となっています。また、有機JAS認証を取得せずに実質的に有機農業に取り組んでいる生産者が多い状況です。
　今回の「オーガニックビレッジ」宣言は、そんな小松島市の地理的、経済的な強みを活かし、持続可能な食料システムの構築に向けた第一歩となります。

　小松島市生物多様性農業推進協議会は、平成22年3月、環境や生きものにやさしい農業を推進するため、農業者、民間企業、行政機関等で設立されました。
　この協議会では、生物多様性保全に配慮した循環型農業を担う人材の育成を図るための取り組みを行っています。
　市内の小学生を対象に「田んぼに棲む生きものとのふれあい」をテーマにした図画川柳作品を募集したり、田んぼや水路のまわりを生産者・消費者・地域の子どもたちが一体となって調べる「生きもの調査事業」等の普及活動も行っています。
　また、地域資源である「菌床ブロック」（しいたけ栽培時に使うもの）を堆肥化し、野菜の栽培に利用する等、循環型農業も推進しています。

　また、市内の「みはらしの丘　あいさい広場」（JA東とくしま）において徳島発オーガニックイベント「オーガニックエコフェスタ」を開催しています。
　新型コロナウイルス感染症の影響の中でも、オンラインでの開催を行い、生産者、農協、流通業者、消費者、行政等の関係者が連携し、それぞれの取り組みの情報発信、情報交換を行っています。

　「みどりの食料システム戦略」とは、持続可能な食料システムを構築するため、国が令和3年5月に策定したものです。
　徳島県においても「徳島県みどりの食料システム戦略基本計画」を令和5年3月に策定しており、小松島市も参画しています。
　今後、小松島市は、これから起こり得る大きな時代・社会変化の中でも、「持続可能な農林水産業の実現」を目指していきます。