2026/01/30 (金) 17:32
〈カリモク家具〉の工場に潜入! 第1回:知多カリモク編
ふだん何気なく使っている木の家具は、どこで、どのようにつくられているのか。特集「〈カリモク家具〉の工場見学」では、ふるさと納税の返礼品としても人気の高いカリモク製品がどのような工程を経てつくられているのかを、全3回にわたってご紹介します。
カリモク家具について
1940年創業の国内生産の木製家具メーカー。「品質至上」の理念のもと、資材調達から製造・販売までを一貫して手掛け、世代を越えて使い続けられる“ロングライフ家具”をつくり続けています。さらに、「木とつくる幸せな暮らし」をミッションに掲げ、暮らしに寄り添う家具づくりを追求。主要拠点のひとつである愛知県東浦町の工場では、多くの代表製品が日々生み出されており、〈カリモク家具〉のものづくりを支える重要な生産地となっています。
知多カリモクとは
〈カリモク家具〉の主要拠点である愛知県・東浦町には、工程ごとに専門性を持った工場が集まっており、それぞれが連携しながら一つの家具を仕上げていくという独自の生産体制が整っています。この“近さ”が、高品質で安定したものづくりを支えています。
今回訪ねたのは、資材管理と木材加工を専門とする〈知多カリモク工場〉 。ここでは、オーク材など多様な木材を扱いながら、「木を無駄にしない」ことを大切にしています。天然木はひとつとして同じ表情はなく、職人の目利きにより板材を選別し、どの家具に使うかを判断。そうして選び抜かれた板材から、部材を切り出しています。カリモク60〈Kチェア〉など、人気返礼品の中身を支える重要な工程を、見学レポートとしてお届けします。
計画植林材と未利用材
広大な〈知多カリモク〉の内部を、取締役に案内していただきました。最初に案内されるのは、コンテナから荷下ろしされた木材が並ぶ巨大なストックヤード。側面には会社、木材ごとの“バーコード”が貼られ、世界中から集まる板材が厳格に管理されています。
ゴムの木が家具になるまで
「木を使うことが環境破壊と思われがちですが、本当は逆なんです」と言います。例えばゴムの木は、ラテックス(天然ゴム)の採取が終わるとかつては廃棄・焼却される運命にありました。しかしカリモク家具では、そうした木を活用することで、資源循環に貢献する家具づくりを行っています。
ゴムの木は、約25年のサイクルで植林と伐採を繰り返す「計画植林材」です。家具用材としては加工の際に毛羽立ちやすいなど扱いの難しさもあります。しかし、ラテックス採取を終えた後に廃棄されてきた木を無駄にせず活用できることと、計画的に植林をされることから環境価値の高い素材でもあります。
カリモクグループ(カリモクマレーシア)では1980年代後半から、このゴムの木の活用に取り組んできました。職人の技術で丁寧に仕上げることで、持続可能な家具づくりにつなげています。いち早くその可能性に着目し、家具用材への昇華させた先駆的な姿勢が、今のものづくりを支えています。
天然乾燥と人工乾燥
〈知多カリモク〉を象徴する工程が、シーズニング(乾燥)です。天然乾燥では、板材が桟木(さんぎ)で積み上げられ、屋外で半年ほどかけてじっくりと水分を抜いていきます。ここで重要なのは、桟木を揃えて積むこと、これにより反り・歪みを防ぎます。
天然乾燥が終わると、人工乾燥に移され、蒸気によって含水率8〜10%以下にまで精密に調整されます。この数値は、長年の家具づくりから導き出されたカリモク独自の水準であり、乾燥工程は製品の精度や耐久性を左右する重要な工程です。
この蒸気を生み出しているのが、板材から定寸の部材を切り出した際に出る端材やおがくずを燃料とするバイオマスボイラー。“木を余すところなく活かす思想”が、ここでも生きています。
ハイテク×ハイタッチ
乾燥工程の次は“見極め工程”とも呼ばれる板材仕分けへ。作業者が板材の表裏を一枚一枚確認し、節・色の違い・変色・曲がりなどを見極め、用途ごとに適材適所で振り分けていきます。
選別後は、個々の板材がバーコード管理しされたラックへ。これにより、どのラックにどのような板材があるかが管理されています。これは機械(ハイテク)と人の技術(ハイタッチ)の融合工程であり、〈知多カリモク〉を象徴するもう一つのシーンです。
木取加工(カット)
続いて板材は、木取(きどり)加工へ。まず長さをカットし、続いて幅をカットします。その際に生じる“余り”は捨てずに、トレイなどの小物や、別用途のパーツとして再利用されます。
削りと接着
部品加工(成形)工程では、荒材の段階から余分な部分を削り落とし、家具のパーツとして求められる厚みや形状に整えていきます。削ることで美しい木の表情が現れ、表面は丁寧に処理されます。
フィンガージョイントと積層技術
短い木材同士を、指と指を絡ませるようなギザギザ形状で接合する技法を「フィンガージョイント」と呼びます。細かな短材を強度のある一本の長尺材へと再生できる、効率的な木材利用の方法です。一方、幅の広い板が必要な場合には、幅の狭い板材を何枚も並べて貼り合わせる「巾はぎ」や「積層」という技法を用います。板材の特性にあわせて、長さ:幅・仕上げを最適化し、木を無駄なく活かす工夫が行われています。それには機械の削りだし精度や部品の接着後に行うシーズニングなどの乾燥技術があってこそといえます。
曲木(まげき)工程
乾燥を終えた木材は、蒸気で柔らかくしたのち、型に沿わせて曲げていく「曲木(まげき)」の工程へと進みます。ここに、前工程で乾燥管理した“含水率の精度”が大きく影響します。曲木は、木材内部の水分量によって仕上がりの安定性や美しさが左右されるため、乾燥工程での8〜10%以下という厳しい含水率管理が、ここでも力を発揮するのです。
椅子の脚などに見られる緻密なカーブは、単板を幾層もに接着剤で張り合わせ、曲木プレス機で成形します。単板曲木では熱は使わないことから、コールドプレスとも呼ばれています。複雑なフォルムを無理なく実現するこの技術も、「木を活かし切る」知多カリモクのものづくりを象徴するひとつです。
おわりに
〈知多カリモク〉を歩いて感じたのは、どの工程にも“木を余すところなく活かす思想”が息づいていること。家具として届く前に、木材はこれほど丁寧に扱われ、何度も選ばれ、整えられているのかと感心させられました。ふるさと納税で届く家具は、その背景にある〈知多カリモク〉の工程群と、素材への深い敬意に支えられた一品なのです。