【キーワード1】地域商社/地域の逸品を発掘し、PR。自走する仕組みづくりが大切
自治体と生産者の橋渡し役。 地域内の循環をサポート
ふるさと納税がこれだけ盛り上がってきた要因として、やはりお礼の品の存在が大きいでしょう。地元の特産品を寄付へのお礼として送る自治体が増え、それがメディアで話題となって人気を集めたことから、利用が一気に拡大しました。ところが、特産品が豊富な自治体はいいのですが、「コレといった特産品がないから、お礼の品は用意できない」と諦めていたところもありました。そんな中、注目されてきたのが、埋もれた特産品の発掘や販路拡大を行う「地域商社」の存在です。
地域商社は地域に眠る優れた産品を発掘し、マーケティングやコンサルティングを行って、生産者の販路や収益の拡大を目指します。中には、観光など異分野と連携して、地域の事業インフラ整備に貢献している地域商社もあります。
生産者・事業者は、これまでにも道の駅やアンテナショップなど、地元の産品を集めて販売するチャンネルを持っていましたが、その機能や規模は限定的でした。しかし、地域商社により発掘され、ふるさと納税のお礼の品として採用されれば、そのぶん販路が拡大し、売り上げ増や新規顧客の獲得などのメリットが得られます。生産拡大に伴い新たな雇用が生まれ、自治体の税収も増加。地域内でいい循環が生まれます。
一方、自治体職員の側も自分で特産品を見つけてきて、すべて生産者と個別に交渉して取引するのは大変です。生産者を取りまとめ、自治体との橋渡し役となる地域商社が間に入ることで、スムーズに事が運ぶのです
経験やノウハウを蓄積し、 自走できる態勢に
「地域商社のいいところは地元に根差して活動し、地域内でお金を循環させているという点です。こうした業務を首都圏の企業に委託している自治体もありますが、そうするとお金が地域外に流出するうえ、地元にその経験やノウハウが蓄積されません。手間は省けるかもしれませんが、契約が終われば、そこで終わり。自分たちで一から同じことをするのは困難です。しかし、地元で地道に取り組んでいれば、その経験を生かして次なる展開を考えることもできるでしょう。当社がこうした業務の受託をあえて行わないのは、『ぜひ地元の皆さんにやってもらって、自らノウハウを蓄積し、自走してほしい』という想いがあるからです」(創業者 須永)
地域商社の形態は民間やNPO法人、道の駅、観光協会が兼務しているところなどもあり、さまざまです。現在、大小取り混ぜてかなりの数の組織が機能しているといわれ、ますますその効果が期待されています。