ふるさと納税の 「これから」を動かす 5つのキーワード
開始から10年を迎えたふるさと納税制度を、自治体はこれからどのように活用していけばいいのでしょう。寄付金集めの「その先」を左右する要素を5つのキーワードで提案します。
寄付先の地域には歳入増加 以外に、さまざまな効果も

ふるさと納税がスタートしてから 10年。利用規模は年々拡大し、寄付先の各地域には歳入増加だけでなく、さまざまな効果がもたらされています。たとえば、お礼の品の導入により地場産業が活性化し、新たな雇用が生まれました。災害時にはスピーディな被災地支援やその後の復興に寄与しています。さらに、自治体の知名度アップにつながるシティプロモーション、観光促進に制度を積極的に活用し、移住者増加を実現した自治体もあります。
「最近は『モノ』から『コト』へと関心が広がる傾向にあります。たとえば、お礼の品自体だけでなく、その作られ方や関わっている人、街にまつわるストーリーなどが注目されています。また、寄付金の使い道への関心も高まり、特定の目的を掲げたガバメントクラウドファンディング(GCF)の利用も増えています。ふるさと納税の制度に各自治体のさまざまな知恵が掛け合わされ、活用の幅がどんどん広がってきている印象です」と、トラストバンク創業者 須永は言います。お礼の品を中心とする「寄付金集め」競争に批判が集まる一方で、地域にお金が循環し、制度本来の趣旨に沿った活用の仕方や創意工夫も生まれています。
ふるさと納税をツールとして 活用し、活性化を推進

では、ふるさと納税の「これから」を考える際に重要な要素とは何なのでしょうか。
「まず大切なのは、ふるさと納税をきっかけに各地で起こっている活性化の波やお金の循環を止めないことです。地域の産品を発掘し、自治体につなげる『地域商社』は、その牽引役として重要性が増すのではないでしょうか。GCFの活用や自治体同士の広域連携も、新たな可能性を広げるでしょう」
また、今年 7 月の豪雨の際、ふるさと納税を通じて多額の寄付が集まったように、災害時の活用も重要テーマです。より早く、より確実に、被災地を支援する態勢を整える必要があります。
さらに、「人口減少・地方消滅時代をいかに乗り切っていくか」という命題を抱える地方都市や山村にとって、その鍵を握るのが域内の消費を伸ばす要因となる「交流人口」の確保です。
「街に関心を持ち、たびたび訪れたりして関わってくれる『街のファン』を増やす努力が必要でしょう。ふるさと納税はそのきっかけ作りに最適なツールなので、ぜひ活用してほしいですね」