【地域活性化】共通する一つの目標に向かう行政と事業者
鹿児島県の大隅半島にある、大崎町。この町では、事業者・生産者、自治体が一丸となり、ふるさと納税に取り組んでいます。そんな「チーム大崎」がお礼の品として生み出したスイーツは地元でも人気となって地元に逆輸入され、道の駅で販売されるようになりました。
大隅半島の東部に位置する鹿児島県大崎町は、自治体と事業者が一体となってふるさと納税に取り組んでいる町です。同町のお礼の品の中心は、うなぎやマンゴー、牛肉、焼酎などの特産物ですが、加工品で人気なのが「カタラーナ」というアイスプリン。町内のカフェレストラン「サザンクロス」に大崎町企画調整課の竹原静史さんが開発を依頼したものです。もともと同町のお礼の品にはスイーツがなかったため、開発したものですが、これが地元でも話題となり、「逆輸入」される形で、地元の道の駅でも販売されるようになりました。さらに大手通販会社のECサイト(電子商取引)への出品も始まり、お礼の品がきっかけで、新たな販路を開拓できました。
町全体をPRするという目的に向かって活動する「チーム大崎」
こういった成功例もありますが、大崎町役場が事業説明会を行っても、ふるさと納税事業を始めた当初はなかなか協力してくれる事業者が集まらなかったそうです。保守的な地域であること、事業者にパソコン操作ができない人が多かったことなどから、事業への参加が敬遠されてしまったのです。
竹原さんは、「大崎町のPRに協力してもらえる人」を求めて事業者へ営業を行い、「すべてのリスクは役場が負う」と説得して、なかなか一歩を踏み出せなかった事業者たちに働きかけました。さらに、パソコン操作ができない人には、パソコンの購入からネット回線の手続き、セットアップまでもサポート。事業を実施する行政と、行政の依頼に基づきお礼の品の発送を行う事業者というだけの関係ではなく、行政が事業者の気持ちを理解して一体となることを目指しました。事業者側も積極的にふるさと納税に取り組むことによって、「チーム大崎」といわれるほどの関係性を作り出したのです。「行政と事業者が一体となったチーム大崎は、『町全体をPRするため』という目的に向かって活動を続けています。以前は遠慮し合っていた事業者同士が集まって、コラボ商品を開発するまでになりました。重要なのは、全員が対等な関係ということだと思っています」(竹原さん)
カフェレストラン「サザンクロス」は親子2代、家族で経営する町の小さな飲食店。カタラーナのもとになったのはコース料理の最後に出していたデザートでした。
大人気となったカタラーナは、大崎町にある「道の駅野方あらさの」内のコンビニエンスストアでも販売されることになりました。カタラーナのほか、サザンクロスが販売するドレッシングなども置かれています。