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やわらかな草花の絵に心和む 普段づかいの伊万里焼 陶咲花(とうしょうか)

〈窯元インタビュー〉陶咲花:徳永 由美さん

長い歴史を持つ伊万里焼の世界に女性独自のアイデアで新風を吹き込み、お茶碗やマグカップなど普段づかいのうつわを手がける陶咲花(とうしょうか)。絵付けをはじめほとんど全ての作業を行う徳永由美さんとご両親の3人で営まれ、ギャラリーはアットホームな雰囲気に包まれています。

「祖父の代から絵付けに携わっているのが女性であることから、自然と草花のモチーフが多くなりました。古くから豊穣の象徴である葡萄や、『難を転ずる』縁起の良い植物として好まれる南天など鍋島らしさのある図案は選びつつ、陶咲花なりの現代的なアレンジを加えています。手がけているうつわも、自分たちが毎日使うようなスープカップやお湯呑など、小ぶりな日用食器が多いですね」と話す徳永さん。

客層は20代後半の方からご高齢の方までと幅広く、売れ筋は手ごろな価格帯のマグカップやスープカップ、お茶碗など。大川内山へ観光に来られた方が、旅の記念にと買い求めることも多いのだそう。お土産としても人気のある葡萄モチーフのシリーズは、80代後半のお母さまが担当されています。

「母はどちらかというと大胆な絵柄が得意ですね。輪郭を描いた後に太い筆で滲ませながら色を埋めていく濃(ダミ)と呼ばれる工程は、筆を動かすスピードや力加減で出来栄えが変わります。私は細かい作業が得意なタイプですが、仮に母の横で一緒の顔料を使いながら描いたとしても、決して同じダミにはならないんですよ」

陶咲花では型紙を使わず、全て下絵無しのフリーハンドで絵付けをしているのだそう。よって、葡萄の粒の数や葉っぱの枚数は少しずつ異なり、ツルの長さもまちまち。同じデザインはこの世に1つとしてありません。

「かつてご旅行で陶咲花の夫婦茶碗をお求めくださった方が、夫の分を割ってしまったから全く同じものを買い直したいとご連絡くださったことがあります。とても嬉しいお申し出だったのですが、私と母は常に下絵無しで描いている以上、大きく雰囲気が変わらないとはいえ年々デザインが変化しています。
仮に、スープカップ10個へ連続して葡萄を描いたとしても少しずつ異なりますし、だからこそ世界でひとつだけのうつわを手に入れる喜びが生まれると思います。手仕事だからこその違いを、一期一会の出会いや味わいとして楽しんでいただけると嬉しいですね」

陶咲花
〒848-0025 佐賀県伊万里市大川内町乙1801

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