若い方にも伝えたい日常に古伊万里がある豊かな暮らし瀬兵窯（せひょうがま）

〈窯元インタビュー〉瀬兵窯：瀬戸口由美子さん

1924（大正13）年に創業、現在は三代目の瀬戸口皓嗣さんを中心に職人が腕を競い合う瀬兵窯。かつて伊万里港から海外へ輸出されていた古伊万里柄を現代風にアレンジした「古伊万里シリーズ」をはじめ、今のライフスタイルに合った日用食器、和モダンスタイルでデザイン性の高いうつわも人気です。

「景気のよい時代はとにかく作れば売れたのですが、次第にそうもいかなくなってきました。そこで瀬兵窯では、伝統的な古伊万里や染付・赤絵などに加え、幅広い世代に興味を持ってもらえるよう、鍋島の技法を活かした和モダンスタイルのうつわ制作を始めました」

「また、現窯主がギャラリー兼ショップを改装しました。当時このあたりでは珍しかった体験型の喫茶店も併設し、実際に商品を使ってコーヒーを飲んでいただけるようにしたんです」と話してくださったのは、瀬兵窯を切り盛りする専務の瀬戸口由美子さん。

「伊万里市ふるさと納税のために」と瀬戸口さんが選んでくださったのは、伝統的な古伊万里柄を再現した「古伊万里シリーズ」です。染付に上絵の金・赤・緑、黄色などの色を使い、繊細で華やかな装飾技法を用いることで現代風にアレンジ。昔から縁起が良いとされている藤の花や牡丹が描かれた、食卓がぱっと華やぐうつわです。

「せっかく『ふるさと納税』ですので、古伊万里らしさを意識したうつわが良いなと思いました。古伊万里に興味があって、一度使ってみたいと思った方に選んでいただけると嬉しいですね。特別なおもてなしシーンだけではなく、普段の食卓でもどんどん使っていただきたいです」

縁をプラチナであしらい、山水の絵を描いた染付のミート皿もセレクト。伝統的な和食器のモチーフでありながら、どこかモダンな印象を感じさせます。

「ワンプレート皿としても、メインディッシュを盛り付けるお皿としても使える便利なお皿で、フードコーディネーターの方からも好評です。縁の輝きがクリスマスシーズンにもピッタリですよ」

今回ふるさと伊万里大川内山のためにとセレクトしてくださったうつわは、瀬戸口さんの地元愛がひしひしと感じられるラインアップ。
「古伊万里シリーズは瀬兵窯で昔大ヒットした商品なのですが、最近になって人気が復活しています。世の中にはシンプルで美しい食器もたくさんありますが、若い世代にこそ古伊万里を暮らしに取り入れていただきたいですね。20代の方が古伊万里のうつわを使っているなんて、それこそすごくカッコいいと思いますよ」