「北海道でゴーヤ!?」 奈井江町・髙柳ファームが手掛けた”苦みまろやかなゴーヤ”
南国の強い日差しを浴びて育つイメージがある、夏の野菜「ゴーヤ」。 実はここ、北海道奈井江町でも、みずみずしいゴーヤが元気に育っていることをご存じでしょうか? 「えっ、北海道でゴーヤができるの!?」と不思議に思う方も多いはず。 しかし、実際に口にした方々からは「苦味がまろやかで食べやすい!」と好評をいただいています。 北海道だからこそ生まれた、美味しさの秘密とは――? 今回は、その秘密を探るべく、生産者である「髙柳ファーム」の髙柳さんにお話しを伺いました。
前例なき「ゴーヤ」への挑戦
※髙柳ファーム
奈井江町で3世代にわたり代々受け継がれてきた「髙柳ファーム」。
もともとは米と小麦が主力だった農園ですが、髙柳さんに世代交代した時期は、ちょうど夕張メロンの人気が高まっていた頃。そこで髙柳さんは、当時まだ珍しかった「赤肉メロン」の栽培に挑戦します。
温度管理が難しく、生産者の技術やセンスが厳しく問われるメロン栽培。
この難易度の高い栽培経験を経て培った「あたたかい場所で育つ作物の知見」が、のちのゴーヤ栽培に活かされることとなります。
※髙柳ファームのゴーヤ
そんな髙柳さんがゴーヤ栽培を思い立ったのは、今から約20年前のこと。
きっかけは、なんとNHKの連続テレビ小説『ちゅらさん』でした!!
「朝ドラを見て『ゴーヤを作ってみよう!』と思ったんです。ゴーヤと言えば、暑い場所のイメージがありますが、ハウスがあれば北海道でも作れるんじゃないか?」と髙柳さんは考えました。
しかし当時、北海道でのゴーヤの栽培事例はほぼゼロ。
「育てても誰も買ってくれない」「やめたほうがいい」と、周囲からは反対の嵐でした。
それでも折れないのが髙柳さん。
「何でもチャレンジ!!」の精神で、過去にもほうれん草やスイートコーン、いんげんなど様々な作物を手がけてきた経験と、メロン栽培で培った技術を活かし、前例のない挑戦へと踏み出したのです。
いざ本場「沖縄視察」へ!試行錯誤の5年間
思い立ったら即行動!
「ちゅらさん」が放送された翌年、髙柳さんは沖縄へ飛びました。
夫婦で初めての沖縄旅行を兼ね、観光農園のスタッフに質問して情報を集めたり、道路脇に実る露地栽培のゴーヤを観察したりと、現地で生のヒントを掴み取りました。
しかし、いざ北海道で始めてみると、マニュアルのない手探りの栽培は失敗の連続でした。
最初は沖縄の真似をして「地に這わせて」育ててみたものの、収穫しようと実を裏返すと、日の当たらない面が真っ白に…!それでも市場へ持っていくと、珍しさから購入してくださる人もいたそうです。
※ゴーヤと向き合う髙柳さん
珍しさから手にとってもらえるゴーヤに可能性を感じた髙柳さんは「失敗したら、次はこうしてみよう」と諦めず、独学で技術を習得していきました。
※まるで南国のような青々としたゴーヤハウス内
失敗を積み重ねること5年。
「地に這わせる栽培」から、現在の「縦に這わせる栽培」へと切り替えてみたところ、ようやく安定的に収穫ができるようになりました。品質の良いゴーヤが収穫できるようになると、市場の評価も一気に上がり「珍しい北海道産のゴーヤがあるぞ」と、徐々にファンが増えていったのです。
※支柱とネットで縦に這わせて栽培し、品質の良いゴーヤが収穫できるようになりました。
待望の品種への切り替え
今から10年ほど前、髙柳さんに転機が訪れます。
※ゴーヤの種
ゴーヤの栽培を始めた当初、髙柳さんが「どうしても作りたい」と切望していた「沖縄県外不出」とされていた品種の種が解禁されたのです!!
この品種からできるゴーヤは、実がまっすぐ美しく育つのが特徴!
それまでは曲がりやすい性質のある品種を使っていたため、曲がっているゴーヤは規格外として収穫量の半分近くをはねざるを得ない苦い経験も味わってきました。
この待望の品種を導入したことで形も収穫量も劇的に安定しはじめ、今現在栽培している自慢のゴーヤを育て上げる体制が整ったのです!
栽培のこだわりと職人技
「美味しいものをいい形でお客様に届けたい」という強い想いを持つ髙柳さん。
そのこだわりは、徹底したハウス管理と土づくりにあります。
ゴーヤは暑すぎると逆にへたってしまうため
北海道奈井江町のカラッとした気候と夜の涼しさはゴーヤ栽培に適しているそう。
しかし、それでも夏場になるとハウスの中は30度を超え、ジメジメとした天気になることもしばしばあるため、40度を超えないよう遮光ネットでコントロールし、30度程度を保っています。
また、病気対策として風通しを良くし、なるべく乾燥させる工夫も欠かしません。
※葉を間引くことで、込み合って暗くなっている部分に光が差し込むようにすると実の育ちが良くなります(葉かき)
さらに、日々伸び続ける葉やツルの管理は職人技です。
風通しや日当たりを良くすることで病気を防ぐことができるため、古くて大きな下葉や混み合いすぎた葉を間引きます。
※親ヅルの先端を切ることで実がつきやすい子ヅルの発生を促す作業(摘心)
栽培を始めた当初は、葉っぱを摘むのが勿体なくて残していたため、まるでジャングルのように生い茂ってしまったことも…。どの程度手を入れればいいかという加減は、実際にやって体で覚えるしかありませんでした。
葉を摘み取りすぎると今度は花がつかなくなるため、生い茂った葉をやみくもに摘み取ればいいわけではありません。「混み合ってきたな」と思ったらツルを多めに取るなど、長年培ってきた絶妙な感覚を頼りに、一つ一つ丁寧に見極めています。
そして最大のこだわりは、「土づくり」にあります。
なんと、毎年ハウス1本に対して4トンもの大量の馬糞肥料を投入。
何年も寝かせて腐葉土のようになった極上の堆肥を贅沢に敷き詰めることで、ふかふかで栄養たっぷりの土壌を作り上げています。
※1本、1本、丁寧に収穫します
収穫の際も、なるべく状態のいいものを選び抜き、傷をつけないよう優しく丁寧に手作業で行っています。
なぜ「苦みまろやか?」
「沖縄のゴーヤは苦くて苦手だったけど、ここのゴーヤは苦味がまろやかでファンになりました!」
そんな嬉しい声が髙柳さんのもとに届きます。
なぜ、髙柳ファームさんのゴーヤはこれほど苦みがまろやかになるのか?
実は、その科学的な理由はまだ完全には解明されていません。
ただ、土壌に含まれる成分や、北海道ならではのカラッとした気候と寒暖差が影響しているのではないかという説もあります。
もしくは、とてもお優しい髙柳さんのお人柄も影響しているのかもしれませんね!
※取材中、熱く語る髙柳さん
「うちのゴーヤは、ぜひ一度、苦み抜きをせずにそのまま食べてみてほしいです。まろやかな苦み含めての『美味しさ』ですから。」と語る髙柳さん。
※輪切りのゴーヤ
もし、「それでもどうしてもゴーヤ特有の苦みが心配…」という方は、内側の『綿(わた)』をギリギリまで綺麗に取り除くと、より食べやすくなります。ですが、まずはぜひそのまま、本来の味を味わってみてください。
前例のない挑戦から20年―――
髙柳さんの「何でもチャレンジ精神」と深い愛情から生まれた奈井江町産のゴーヤは、ファンがつくほど人気です。今年の夏は、北の大地が育んだ「まろやかな苦味」を体験してみませんか?
メッセージ
「一生懸命、愛情をたっぷり込めて育てました。『苦味がまろやかで食べやすい』と言っていただける、自慢のゴーヤです。今年も例年通り見事なゴーヤが育っています!北海道奈井江町からお届けする夏の味覚を、ぜひご家庭で味わってみてください!」
※満面の笑みを浮かべて、ご自慢のゴーヤを紹介する高柳さん