次世代へつなぐ!静岡県立美術館 アートとみどりの散歩道 再生プロジェクト
カテゴリー:伝統・文化・歴史
寄付金額 7,486,000円
目標金額:10,000,000円
- 達成率
- 74.8%
- 支援人数
- 115人
- 終了まで
-
17日
/ 90日
静岡県(しずおかけん)
寄付募集期間:2024年8月2日~2024年10月30日(90日間)
静岡県立美術館
静岡県立美術館へと続く、アートとみどりの散歩道「彫刻プロムナード」
そこでは、四季折々の花々とともに、貴重な彫刻作品が、開館当初から世代を超えて訪れた人の目を楽しませています。
しかし、開館から40年が経過し、彫刻の塗装の剥落や腐食、さびなどの損傷が目立ち、草木の手入れも十分に行き届かなくなっています。その修復には、高度な技術と多額の費用が必要です。
美しい彫刻プロムナードに当時の姿をよみがえらせ、次世代に受け継いでいくため、皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
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貴重な彫刻作品をよみがえらせたい!
彫刻プロムナードの作品は、作品の素材や制作方法によって、メンテナンスの仕方や劣化の進行速度が異なります。今回のプロジェクトでは、特に損傷がひどくなってしまった2点を修復します。
トニー・スミス《アマリリス》
作品について
彫刻プロムナードの坂道を上りきったところで、美術館の建物と同時に目に入ってくるのが、トニー・スミスの《アマリリス》です。1985年7月25日に、翌年開館する静岡県立美術館のシンボルとして現在の場所に設置されてから、来年で40年を迎えます。同じ形状の幾何学的立体を積み重ねた単純な構造ですが、作品の周囲を巡ると見え方が複雑に変化し、多様な鑑賞体験を生み出します。黒に着色されたスチールに反射する光と影が生み出す効果も鮮やかです。
本作品は屋外で設置されることを意図して作られた作品で、実際、この作品が現在の場所に置かれることにより、前庭と、背後の美術館の建物や周囲の自然とのあいだに調和を生み、印象深い景観を作り上げています。
トニー・スミスとは
アメリカニュージャージー州生まれのトニー・スミス(1912-1980)は、1933-36年にニューヨークのアート・スチューデント・リーグで絵画を学んだ後、1937年にはシカゴのニュー・バウハウスに在籍し、翌年からアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの見習いと、その後2年間彼の助手を務めいくつかのプロジェクトに参加しました。以来、スミスは20年以上建築家として活動しますが、1950年代から、彫刻家に転向し、形態と空間の均衡、幾何学的構築性を追求し、ミニマル・アートの動向とも関わりを持ちました。
専門家からのご意見 黒川弘毅(彫刻家、保存・修復家、武蔵野美術大学名誉教授)
私は30年以上にわたり、彫刻プロムナードの作品群の保存に関わってきました。屋外の過酷な環境に置かれている彫刻作品は、良好な状態を維持するために、コンディションの観察と保守作業を継続的に必要とします。
鉄製の《アマリリス》には塗料が施されています。塗装の更新(塗り替え)をして16年が経過しました。
近年、塗装の劣化が加速度的に進行し、退色により作品の色調は黒からグレーに変わりました(1)。現在、表面を触ると、劣化した塗料が粉状になって指にたくさんにつきます(2)。内角を含むコーナーの多くで、塗膜に亀裂が入ってはげ落ち、さびを生じた鉄材が現れています。目につきやすい水平面では黒い塗膜層の喪失が広範囲に進み、白色の下地塗料の露出が顕著になっています(3)。できるだけ早く塗装を更新する必要があります。
また動物による常習的な尿かけが原因と思われる腐食が、作品下方の特定個所に進行しています。さびが塗膜を浮き上がらせ、剥落させている部分が拡大しています。目立たない下面には層状のさびが幾重にも激しく形成されて、大きなさびの破片が落ちはじめています(4)。この腐食は作品にとって深刻なダメージとなることが懸念され、これを迅速に処置しなければなりません。
単純な形態の構成が際立つ《アマリリス》は彫刻プロムナードにおける要です。その修復、再塗装と腐食個所の防錆は、プロムナード全体を整備する上で喫緊の課題です。
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清水九兵衛《地簪》(ちかんざし)
作品について
彫刻プロムナードにある清水の《地簪》(ちかんざし)はシンプルな形をしていますが、表面には微細な凹凸があって、実は表情豊かな作品です。清水は、親和などを意味する「AFFINITY」という言葉で自作を説明していて、作品と周りの空間がなじむことが意図されています。盛り上がった地面から立ち上がるような本作品は、周囲の緑を背景に、赤色が映える(はずの)ものとなっています。
残念ながら、現在では塗装が剥がれ、さびも出てきて、存在感はあまりないかもしれません。清水が彫刻プロムナードのために制作した、たった一つしかない彫刻作品です。本来の姿をご覧いただけることを願っております。
清水九兵衛(きよみずきゅうべえ)とは
清水九兵衛は、1922(大正11)年生まれの彫刻家です。アルミニウムを素材とした抽象彫刻で知られ、野外作品を多く手がけました。陶芸家・七代清水六兵衛としての顔も持っています。1950年代から陶芸を発表していましたが、1960年代後半、彫刻に転向します(1968年から清水九兵衛の名前を使用)。1980年、六代清水六兵衛の急逝に伴い、七代を襲名しました。第3回彫刻の森美術館大賞受賞(1977年)、第7回須磨離宮公園現代彫刻展大賞受賞など、受賞多数。
専門家からのご意見 藤岡五郎(清水九兵衛助手)
私は藤岡五郎と申します。1989年に金沢美術工芸大学を卒業し、同年から2006年に清水先生が逝去されるまで助手を務めました。先生の逝去後は制作に関する図面や資料の分類・整理、全国に設置されている清水作品を修復する活動などを続けています。
清水先生の野外彫刻作品の数は日本国内だけでも80点以上に及んでいます。初期の作品は、アルミ表面に「ヘアライン仕上げ」と呼ばれる模様を付けた後、透明塗料を塗装していましたが、傷付いた際の修復に苦労されたようです。その為1980年代からは作品に朱色の塗装を施すようになりました。ただ、アルミの質感を重要視していた先生は、全て朱色で覆ってしまわず部分的に色を剥がしてアルミが見えるような工夫をしました。作品を近くで見ると、朱色とシルバーがハレーションを起こしてその鮮やかさにハッとさせられます。ちなみにその朱色というのは既成色ではありません。京都でよく見られる鳥居の朱色に近い赤色であった事もあり「京都レッド」と名付けられています。
「地簪」は前回の塗り替えから既に30年が経過しています。表面の塗料は多くの部分で剥離し、アルミ素地部分にも白さびが発生しています。一般的に外壁塗装は10年から20年で塗り替えることが推奨されています。特に赤系の色の材料となる顔料は他の顔料と比べて紫外線の影響を受けやすく、退色が起きやすいといわれています。ぜひ、オリジナルの「京都レッド」で「地簪」をよみがえらせることができますよう、よろしくお願い申し上げます。
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寄附金の使い道
トニー・スミス《アマリリス》の修復費 約360万円
清水九兵衛《地簪》の修復 約240万円
その他植栽やベンチなどの整備 約400万円
・目標金額に達しなかった場合も、本プロジェクトに活用させていただきます。
・目標金額以上の寄附をいただいた場合、より過ごしやすく、心地よい散歩道の整備に活用させていただきます。
【事業実施のスケジュール】
2024年度冬 修復等整備実施
寄附者の皆さまへ
ご寄附の方法・返礼品について
■寄附のみの方・静岡県にお住まいの方
このプロジェクトへのご寄附は、静岡県にお住まいの方でも、ふるさと納税制度の対象です。
個人の方の場合、一定の限度内で寄附を行うと、2000円を超える部分について、所得税や住民税の還付・控除が受けられます。芸術や緑豊かな憩いの場を守るために、ふるさと納税で支援したい。そんな思いをお持ちの方は、ぜひご支援をお願いいたします。
返礼品が不要で寄附のみの方や、静岡県にお住まいの方は、「ふるさと納税で応援」ボタンからご寄附ください。
■感謝の品(返礼品)のご紹介
静岡県外にお住まいの方には、感謝のお品(返礼品)をご用意しました。
数量限定のオリジナルグッズをはじめ、高額寄附者様には当館一番人気の貴重な作品・伊藤若冲の《樹花鳥獣図屏風》の特別鑑賞会まで、静岡県立美術館ならではのプランを寄附金額に応じてお選びください。
感謝のお品をご希望の方は、「お礼の品を選んでこのプロジェクトへ寄付をする」のボタンからご寄附ください。
※ふるさと納税の制度上、静岡県にお住まいの方はお礼の品(返礼品)を受け取ることができません。
■インターネットでのお振込みが困難な方
ご連絡をいただけましたら郵便局の払込取扱票を郵送いたします。
(静岡県立美術館企画総務課 054-263-5755 soumuPMA-shizuoka@pref.shizuoka.lg.jp)
ご支援いただきました皆さまのお名前をホームページ又は館内に提示させていただきます。(ご希望の方のみ)
メッセージ
静岡県立美術館 館長 木下直之
彫刻プロムナードは美術館の誕生とともにありました。広場や庭園など屋外の演奏会がプロムナードと呼ばれるように、この坂道を上るところから、すでに美術館は始まります。2年後に、当館は開館40周年を迎えます。
さらに40年後、100年後へと美術館をつないでいくことが、私たちの使命です。この大切な仕事に、皆さまのお力をお貸しください。彫刻プロムナードをよみがえらせ、坂道で過ごす皆さまの時間が楽しいものになるようにします。
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ご利用のお客様から寄せていただいた思い出のエピソード
プロムナードのアートと自然は、開館前から整備が行われ、世代を超えて楽しまれてきました。ご利用されているお客様から寄せていただいた、思い出のエピソードをご紹介します。
自然の中にある彫刻作品は、誰もが気兼ねなくアートに触れていただける貴重な場所です。その作品と環境を守り、より良い状態で次世代へと伝えていくために、いま成すべき修復と整備を実施したく、ご寄附をお願い申し上げます。
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ふるさと納税で
このプロジェクトを応援しよう!
ふるさと納税とは、ふるさとや応援したい自治体に寄付できる制度です。
控除上限額内の2,000円を超える部分について、所得税や住民税の還付・控除が受けられます。
控除上限額かんたんシミュレーション
お礼の品一覧
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静岡県立美術館カタログセット
20,000円
静岡県立美術館が収集している17世紀以降の山水・風景画、県ゆかりの作家や作品、現代の美術、ロダンと近代彫刻などがまるごと分かるカタログの3冊セットです。
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(樹花鳥獣図屏風3種セット)静岡県立美術館 人気収蔵品 伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》オリジナルグッズ詰め合わせ
15,000円
静岡県立美術館の収蔵品である、伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》をデザインした、オリジナルグッズ3種類(フラッグペン、タオルハンカチ、メモ帳)セットです。
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(群青富士3種セット)静岡県立美術館 人気収蔵品 横山大観《群青富士》オリジナルグッズ詰め合わせ
15,000円
静岡県立美術館の収蔵品である、横山大観《群青富士》をデザインした、オリジナルグッズ3種類(フラッグペン、タオルハンカチ、メモ帳)セットです。
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(樹花鳥獣図屏風2種セット)静岡県立美術館 人気収蔵品 伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》オリジナルグッズ詰め合わせ
10,000円
静岡県立美術館の収蔵品である、伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》をデザインした、オリジナルグッズ2種類(タオルハンカチ、メモ帳)セットです。
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(群青富士2種セット)静岡県立美術館 人気収蔵品 横山大観《群青富士》オリジナルグッズ詰め合わせ
10,000円
静岡県立美術館の収蔵品である、横山大観《群青富士》をデザインした、オリジナルグッズ2種類(タオルハンカチ、メモ帳)セットです。
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(ロダン 2種セット)静岡県立美術館 ロダン作品 オリジナルグッズ詰め合わせ
10,000円
静岡県立美術館が所蔵する、オーギュスト・ロダンの作品をデザインした、オリジナルグッズ2種類(タオルハンカチ、メモ帳)セットです。
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【先着10名】静岡県立美術館屋外彫刻を一緒に磨こう(洗おう)プロジェクト【12月7日(土)実施(雨天順延)】
50,000円
静岡県立美術館のプロムナードにある彫刻作品を、学芸員の解説付きでと一緒に磨きます。屋外彫刻のブロンズなどはどうしても汚れてくすんでしまいます。あなたの力で彫刻の魅力を復活させませんか。 12月7日(土)午後【雨天順延】 予備日:12月8日(日)、14日(土)、15日(日) 1回のお申込みで1名ご参加いただけます。
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【先着2名限定】伊藤若冲「樹花鳥獣図屏風」特別鑑賞会
1,000,000円
伊藤若冲による貴重な桝目描き作品「樹花鳥獣図屏風」を、学芸員の解説付きで特別に鑑賞できます。ご家族、ご友人等(最大15名)と一緒にご鑑賞いただけます。 若冲が創造した特殊な絵画世界を、直接、じっくり観察することで、若冲の独創性の秘密に迫ります。 通常の展示とは異なり、ガラスを介さずに作品をご覧いただける大変貴重な機会です。 日程につきましては、ご相談のうえ、決定いたします。
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【先着30名】石田徹也特別鑑賞会【12月21日(土)】
100,000円
【先着30名様】 海外でも注目を集める当館所蔵の石田徹也の作品を、特別に展示し、学芸員の解説付きでじっくりと観覧できます。12月21日(土)に特別鑑賞会を実施します。
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【先着20名】木下直之館長と歩く無言館展(サイン入図録付き)【11月10日(日)午後】
20,000円
夭折の画家の作品を展示した企画展「無言館と、かつてありし信濃デッサン館ー窪島誠一郎の眼」を木下直之静岡県立美術館館長とともに歩きましょう。館長のサイン入図録付きです。
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静岡県立美術館企画展招待券(2枚)
15,000円
静岡県立美術館で開催するお好きな企画展の招待券をプレゼントします。招待券は2枚で有効期間は令和7年度末までです。同じ企画展で2枚使うことも出来ます。
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静岡県立美術館収蔵品展年間パスポート(2枚)
5,000円
2.800点以上の幅広いコレクションの中から、毎回テーマを決めて展示している収蔵品展の年間パスポートです(年5回程度)。ロダンの「地獄の門」や「考える人」などの彫刻作品を展示する「ロダン館」も観覧いただけます。
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2024年10月07日 09:11
御礼☆ご支援者100人達成!応援コメントに代えて…思い出エピソード⑤道標・鳩
ようやく朝晩は秋らしくなってきました。当クラファンも、終了までのカウントダウンまであと少し。
そんな折、先日、みなさまのご支援のおかげで、ご寄付いただいた方の人数が100人を越えました!
当館の彫刻プロムナードの貴重な美術作品の修復、鑑賞環境の改善に、県内外からご賛同、応援をいただき、誠にありがとうございます。
クラファンチーム一同、御礼申し上げます。
さて、応援コメントとして寄せていただいた友の会・松谷さんの思い出エピソードも今日で最終回です。
今日のテーマは、プロムナードをまもなく登り切ろうというところで私たちを迎えてくれる、柳原義達の《道標・鳩》です。
今年同じく屋外彫刻の修復に向けてクラファンに挑戦している三重県立美術館の柳原義達記念館と当館、屋内と屋外での鑑賞体験をくらべながら、「次世代につなぐ」と冠した当プロジェクトにふさわしいコメントを寄せてくださいました。
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柳原義達 《道標・鳩》
2年前三重県立美術館に行った時に、柳原義達本人と遺族からのまとまった彫刻80点程の寄贈品でひとつの神聖なアート空間の部屋⦅柳原義達記念館⦆があった。
静岡県立美術館の『道標・鳩』を見慣れていた私は心が引き締まった記憶がある。
静岡県美では、鳩はプロムナードを歩いて美術館に向かう道の最後で、芝生の上でたむろしている。色彩が黒。彫刻家はこの色で表現したかったのだといつも納得して通り過ぎる。孔雀鳩という種類で、尾が長く作品はがっちりしている。
三重県立美術館の作品は屋内展示なので、一体一体がなぜだか大きく見えたのに、ここ静岡では鳩仲間同士で、鳩はこうあるべきと議論しているのか何なのか。でも何となく優しく身近に感じる。生き生きとした力のある彫刻をこんなに日常の空間に設置した美術館スタッフのアイデアは嬉しい。
若くして帝展に入選し、脚光を浴びた柳原氏。フランスでブールデルの弟子のエマニュエル・オリコスト氏に師事して、帰国後は大胆なデフォルメ作品を展開し作品づくりをした。だが、タイトルの道標(みちしるべ)は自身の彫刻家としての人生を鳩たちが導いてくれているようなタイトルで、がっしりとした鳩はもしかしたら自画像と思う。作品づくりは結局自画像でしかないと、私は自分の織物作品を制作しながら思うからだ。
最近「子供が鳩の上に乗って、羽が壊れたらしいよ」と聞いた(※美術館注:実際に破損したのは足)。私の作家さん達へのオマージュでは考えられないことだが、子供の好奇心を大切にするなら作品破壊は子供の人生に強くアートを意識して、作家になる可能性のある言葉かけが出来る、そんな親であってほしいし、静岡県立美術館の関係者であってほしいと心底思う。
どんな子供だったのか。そして折れた瞬間何を理解したのか・・・。
柳原氏は天国ですべてを許しているだろうと思った。そんな大きな人間性を感じる作品達なのだ。
静岡県立美術館友の会 松谷和子もっと見る -
2024年09月30日 08:57
御礼☆700万円達成! 応援コメントに代えて…思い出エピソード④アークⅡ
クラファンの挑戦期間が、いよいよ残り1か月に迫るなか、ついにご寄付の金額が700万円に達しました。
ご寄付いただいた方の人数も96名と、まもなく100名に届きそうです。
ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございます。
残り1か月、引き続き、応援よろしくお願いいたします。
(よかったら、このページの「拍手する」のクリックもお願いします♪)
さて、本日も友の会の松谷さんからお寄せいただいた彫刻プロムナードの思い出エピソードをお届けします。
今日は、プロムナードを上ろうという来場者をどーんとお迎えする、ジェームズ・ロザティの《アークⅡ》にまつわる思い出。
著名な版画家・池田満寿夫氏も登場します。
次回、最終回です!
ーーー
ステンレスの仄かな輝き
故・池田満寿夫氏を案内
300㍍の長さの彫刻プロムナードにあるジェームズ・ロザティの作品《アークⅡ》をバックした池田満寿夫氏との記念写真と清水での取材中の写真が本棚隅から出てきた。1988年のものだ。
このロザティ作品は注文制作でなく既存の作品から選ばれたもので、直線と弧による幾何学的なフォルムがスッキリしている1982―84の制作だった。
10代の半ばにプロのブァイオリン奏者として音楽を志していたロザティが、その後彫刻家になった。
抽象的で幾何学的な形態に音楽的な流れが感じられる。ステンレスの光に当たる輝きから空に向かって暖かい音が心の中で響く。
「画家にとっては広いアトリエが必要で、アメリカはスペースが広く取れるから僕はアメリカ生活が長くなった」と池田氏は話し始めた。
東京に戻ってきて、東伊豆、下多賀のミカン畑に広いアトリエをもうけ、版画に加え、陶芸をやり始めた。
「僕は自分の絵が飾られていないところには行かないよ」
と言っていたのに
「静岡県立美術館を案内しましょうか」と誘うと、「是非」ということになり案内することになった。
めっきり緑の濃くなったケヤキの並木。
「彫刻の配置もいいね。アークのような現代彫刻はやはりこの場所にいいね」
と気さくに話しかけてくれた。
「現代が一番素晴らしい時代で、特に芸術表現にとってはこれほど自由な時代はないと思うんです。
誰からも非難されないし、たとえ無視されるにしても ”こんなものけしからん ”と壁から外されることもないですからね。
でも昔は酷くて、ゴッホはアルルの市民に危険人物とされ追放されているのはご存じだと思います。
今では銅像までたっていますが、市の美術館には彼の作品は一点も展示されてはいないんですよ」
その後、自宅の飼っていた大型犬にじゃれて飛びつかれ、亡くなったことを知った。天国で犬と一緒に仲良くねと祈った。
芥川賞の「エーゲ海に捧ぐ」の本を真剣に読んだ。テレビのクイズ番組で楽しく話していた姿を懐かしく思い出す。
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2024年09月18日 16:07
応援コメントに代えて…思い出エピソード③風化儀式V-相関体
クラファン開始から47日間が経過し、折り返し地点を過ぎました。
おかげさまで80人もの方々にご支援をいただくことができました。
県外からの寄付者の皆さまのなかには、返礼品がお手元に届いている方もいらっしゃるかと存じます。
ぜひ、お楽しみいただけたら幸いです。
県内からの寄付者の皆さま、そして返礼品をご希望でない寄付者の皆さまへの最大のお返しは、このプロジェクトの成功ではないでしょうか。
諸経費等を差し引きますと、アマリリスの修復達成までは、あと一歩と言うところです。
残り約1か月半、目標達成に向けて、ひきつづき努力してまいりますので、ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。
さて、本日も友の会の松谷さんから寄せていただいた思い出エピソードをご紹介します。
今回は、プロムナードの中腹に位置する、古びていくこと自体が作品の一部となっている鈴木久雄作《風化儀式Vー相関体》にまつわるお話です。
ーーー
「彫刻はそのまま撮っても作品にならない」と、友の会会員向けの写真講座の講師を務めた中村明弘氏は彫刻作品を撮ることをあまりすすめなかった。
でも私はこの屋外彫刻作品を何としても撮りたかった。
この『風化儀式Ⅴ』彫刻を設置した頃に作家の鈴木氏にあったことがある。
あれからもう35年も経っている。
当時作品がクレーンで降ろされた時から、自然の中で風化がはじまり、ワイヤーロープからの錆びが白い御影石の彫刻に沁み、それが変化するのを見守ってきた。
「石と石の間に草が生えたらそのままにしておいて」とか「白御影石とコールテン鋼板を締め付けている12ミリのワイヤーロープは30年ほどで切れると思います」と語っていた。
ワイヤーがどんな風に切れるのかずっと興味があった。まだ切れていない。
切れる瞬間にワイヤーが弾けるところを撮ってみたいと私はいつも思っている。
自分を表現したいとチャレンジした。ステンレスのワイヤーの形を顔に見たてて近づいた。
日本で撮影したと言わなければ、中世のヨーロッパの兵士みたい。グローバルなちょっとユーモラス写真作品になったかな。
静岡県立美術館友の会 松谷和子
TOP画像撮影:松谷和子もっと見る -
2024年09月03日 10:28
応援コメントに代えて…思い出エピソード②アマリリス
クラファン開始から、昨日で1か月が経過しました。
これまでに60名もの方にご寄付をいただき、寄付金額は650万円を越えました。
県内外からの温かいご支援を誠にありがとうございます。
目標まで残り35%です!
二つの彫刻作品を修復し、さらに鑑賞環境の改善にも取り組めますよう、引き続きの応援をよろしくお願いいたします。
静岡県美クラファンチームも、みんなで頭をひねって努力を続けます。
さて、本日は、友の会会員松谷さんからの思い出エピソード第2弾をお届けします。
画像は、《アマリリス》が設置された際の様子。
こうした記録も思い出とともに保管されている松谷さんに、作品と美術館への愛を感じます...。
どうぞお楽しみください。
ーーー
アマリリス
静岡県立美術館の館報誌のタイトルの『アマリリス』はこの作品と絡んで名づけられたのだろう。
トニー・スミスの作品は美術館の玄関に向かって歩くと左側の視界に入ってくる。彫刻は黒。しかも近づくと大きい。
県立美術館友の会の写真講座で彫刻を含めた美術館周りを撮るレクチャーで初めに集合したのは、この作品の前。
こんなに大きな作品でも、意識したことが無かった人もいたことにびっくりする。光の具合でインパクトがあったりなかったりなのだろうか。
アメリカ、ニュージャージー州生まれ、トニー・スミス53歳の作品である。
シカゴのニュー・バウハウスで建築を学び、日本でも有名な帝国ホテル建築で有名な、フランク・ロイド・ライトの助手をしていた。
厚さ1㌢以上の鋼板12枚を溶接し、高さ3・5㍍の作品は重量が3㌧。
普通に暮らしている私には、溶接の大変さは理解できないが、バウハウスで建築を学んだと知れば、何だかストンとわかって楽しい。
高齢化社会になり、プロムナードの小道をずっと歩き続けるのは大変なので、出来たらベンチがあると嬉しいと思うこの頃。
最近美術館を訪ねると、木々の中を散策し、犬の散歩を楽しむ人が増えた。
私は趣味で日本中の美術館を訪ね歩いている。
去年北海道の『神田日勝記念美術館』を訪ねたが、駐車場の広さと解放感にビックリした。
朝早く着くと、テントを積んだオートバイやキャンピングカーがあった。
開館まで時間があったので、テーブルとイスを出して、朝のコーヒーを飲んだ。
作品の印象も勿論だが、周りの景色をも内包した印象も心に残る。
静岡県立美術館もそうした旅人にも優しい駐車場が出来るといいなーと思う。
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2024年08月27日 16:56
応援コメントに代えて…思い出エピソード①清水久兵衛
クラファン開始から1か月弱経ちました。おかげさまで、まもなく目標金額の60%に到達します。
皆様のご支援に厚く御礼申し上げます。
クラファン開始に先立ち、ボランティアや友の会の会員から、また、本県の募集フォームなどから、
応援コメントや思い出エピソードを募集いたしました(お送りいただいた皆様、ありがとうございました)。
本日は、そのなかから友の会会員の松谷様より心を込めて執筆いただいた思い出エピソードをご紹介します。
松谷様からの思い出エピソードは、ほかにも複数寄せられており、今後、この「進捗情報」にてご紹介したいと思っています。
次はどの作品、どんな作家とのエピソードか、楽しみに読んでいただけたら幸いです。
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地(ち)簪(かんざし)
清水九兵衛(七代目清水六兵衛)
赤いアルミの作品の名前が、地簪。簪 ? ? ?
言ってみれば地面が頭でそこに簪を挿している。激しいなー。作者は清水九兵衛氏。もしかして、清水焼の人で有名な人と同じなのかと初めて作品に出会ったときは思った。
美術館が出来てずっと風雨にさらされているので、今は何となくアルミの赤が弱くなり始めた。周りの草が伸びて簪が半分隠れるのも目撃した。プロムナードの散策で、好奇心旺盛な子供たちは作品を遊具と思うのだろうか・・。作品の周りに植木がまるでバリアーのように成長した。
京都に住む作者の清水九兵衛氏に会いにいったことが鮮烈な記憶として残っている。まず到着した京都駅の中にアルミの赤い作品が凛と存在していた。
訪ねると優しい話し方で対応してくださった。しかも清水九兵衛氏が出してくださったお茶。黒い抹茶茶碗のお茶をいただいたのだ。今までの体験で一番おいしく、忘れられない味だった。玄関まで奥様とお見送りしてくださったことも、忘れられない。
静岡県人は歴史ある京都の人の言葉の奥にある意味を理解するのが苦手だが、この時地簪をこの静岡で大切にしなくちゃと思ったのだ。
静岡県立美術館友の会 松谷和子もっと見る -
2024年08月16日 17:40
☆☆御礼☆☆目標金額50%以上達成! そして、ロゴマークのこと
本プロジェクトを閲覧くださり、ありがとうございます。
今週、ご寄付の金額が目標の54.9%に到達いたしました。
開始2週間ほどで、ここまで達成することができたことに、クラファンチーム一同、大変感激しております。
とても一言では言い尽くせませんが、これまでご支援いただいた皆様へ、心からのお礼を申し上げます。
そして、ここまでのご寄付にて、清水久兵衛《地簪》の修復が可能となりました。
さっそく担当者は修復に向けて動き出していますが、本プロジェクトのロゴマークには、この作品があしらわれていること、お気づきでしょうか。
《地簪》の特徴的なアーチと、緑豊かなプロムナードの植え込みが組み合わさって、ハートを形づくっています。
本プロジェクトを応援してくださっている皆様からのお心遣いをしっかりと受け止め、我々クラファンチームも、残りの期間の広報・周知活動に、また修復プロジェクトの実現にむけて、心をこめて努力してまいります。
ひきつづきのご支援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。もっと見る -
2024年08月12日 10:14
憩いの場、もう一つの展示室ーボランティア活動の舞台として
本日、ご寄付の総額が30万円を超えました!
遠方から、あるいは、返礼品がお渡しできないにも関わらず県内各所から、本プロジェクトを応援してくださり、誠にありがとうございます。
どんな気持ちを込めてご寄付くださったのかな、と想像するのも、とても励みになります。心よりお礼申し上げます。
この投稿では、彫刻プロムナードの役割について、「ボランティア活動の舞台」という視点からご紹介します。
画像は、今年の春に行われた「呈茶」の様子です。
静岡県立美術館のボランティアは、活動に応じていくつかのグループに分かれています。そのうち、「草薙ツアーグループ」が、近年、継続的に行っているのが、彫刻プロムナードの中腹にある茶畑の育成、茶摘み、そして、その茶葉を使ったお茶のお客様への提供です。
この春には、実際に茶葉を収穫した茶畑の前でお茶を提供する試みを、初めて行いました。
坂道の途中のほっと一息の休憩。皆さん、ボランティアや学芸員との会話を楽しみながら、喜んでお茶を味わっていらっしゃいました。
また、昨年度は、お客様と対話をしながら作品を鑑賞する活動を行う「ギャラリーツアーグループ」が、彫刻プロムナードでの対話型鑑賞に初挑戦しました。
普段は通り過ぎてしまいがちな屋外彫刻作品と向きあい、語り合う、貴重な経験を、参加者のみなさまと分かち合いました。
このようにボランティア活動の舞台ともなっている彫刻プロムナードですが、ベンチが傷んでいたり、敷石がずれて歩きにくかったりと、彫刻作品以外の箇所にも、改善したい場所はたくさんあります。本プロジェクトでは、まずは彫刻作品の修復を目標としていますが、より多くのご寄付をいただけた際には、そうした点の改善にも活かしていく計画となっております。
引き続きのご支援、ご協力を、どうぞよろしくお願い申し上げます。
もっと見る -
2024年08月08日 10:53
静岡県美のウェブサイトにて、彫刻プロムナードの全貌を紹介しています。
当ページをご覧いただき、ありがとうございます。
今回、皆様からのご寄付によって修復を行う予定となっている二つの彫刻作品、《地簪》と《アマリリス》は、静岡県立美術館の本館へといたる緑とアートの散歩道「彫刻プロムナード」に設置されています。地図の5番と11番が両作品に当たります。
「彫刻プロムナード」には、本プロジェクトの2作品だけでなく、様々な作品をご覧いただくことができます。
美術館のウェブサイトには、彫刻プロムナードの地図とともに、各作品をご紹介するページがございます。
トップページ 上部のタブから、「来館案内」→ 「館内・周辺マップ 」→「 プロムナード・周辺マップ」へとアクセスして下さい。
皆様のご寄付を、どのような空間の再生に利用させていただくのか、具体的にご覧いただけるかと存じます。
昨日、ご寄付の総額が20万円を超えました!ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございます。
ひきつづきのご支援、ご声援をどうぞよろしくお願い申し上げます。関連リンク
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2024年08月06日 12:33
クラファン開始!記者会見を行いました。
2023年度末から用意してきたクラウドファンディング「次世代へつなぐ!静岡県立美術館 アートと緑の散歩道再生プロジェクト」が、8月2日(金)、いよいよ始まりました!
開始から4日、これまでのあいだに早速ご寄付いただいた皆様、誠にありがとうございます。この応援を原動力の一つとして、プロジェクトの実現に向けて、残り三か月弱、努力してまいります。
昨日8月5日(月)には、記者会見を行いました。ご出席いただいたマスコミ各社の皆さまにも感謝申し上げます。
SBS放送の夕方のニュースで早速ご紹介いただきました。ありがとうございました。
ひきつづきの応援を、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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静岡県
静岡県では「生まれてよし 老いてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、「住んでよし 訪れてよし」の理想郷“ふじのくに”を目指し、皆様と二人三脚で様々な施策に取り組んでいるところです。「ふるさと“ふじのくに”」に貢献したい!「ふるさと“ふじのくに”」を応援したい!という皆様からの寄附をぜひお願いします。
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