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          老舗ニットメーカーが紡いだ、2つのファクトリーブランド――米富繊維株式会社

          古くから染織のまちとして栄え、現在は日本有数のニットの産地である山形県山辺町。 ここに、近年、海外でも人気のブランドを展開する老舗ニットメーカーがある。 それが、米富繊維株式会社だ。

          それまでOEM・ODMが中心だった同社が2010年に立ち上げたファクトリーブランド<COOHEM(コーヘン)>は、
          瞬く間に大手セレクトショップや百貨店の目に留まり、今では国内だけでなく海外にも卸先が広がるほどまでに成長した。

          <COOHEM>立ち上げから10年後の2020年には、同社2つ目のブランド<THISISASWEATER>を発表。
          複雑で鮮やかな素材とカラーリングが特徴の<COOHEM>とは真逆の、セーターに特化したシンプルなブランドだ。

          相反する2つのブランドは、どのようにして生まれたのか。
          山辺町だからこそ、できるモノづくりとは?

          山辺町のふるさと納税返礼品事業者を紹介する特集「モノづくりを訪ねる」。
          2回目となる今回は、米富繊維株式会社です。

          欧米のファクトリーブランドとの出会い

          米富繊維は、1952年創業。戦争から引き揚げてきた創業者が、「これからは着るものが必要だ」とニット工場を立ち上げた。高度経済成長期は右肩上がりで事業が拡大したが、90年代に入り中国をはじめ海外での生産が本格化すると、受注は減少していった。

          「子どもの頃はまちの至るところに『◯○繊維』『○◯メリヤス』という看板がありましたが、中学・高校と上がるに連れ、まちからどんどん工場がなくなっていきました」と語るのは、大江健さん。米富繊維の三代目でファクトリーブランドを立ち上げた方だ。

          当時からファッションに興味のあった大江さんは、「ファッションの仕事をするなら東京以外ない」と東京へ。大学卒業後、服飾系専門学校を経て、世界中のブランドを扱うセレクトショップで販売の仕事に就いた。ここで、大江さんはあることに気づく。それは、“ファクトリーブランド”の人気ぶりだった。

          「例えば、エルメスのスーツをつくっている工場やグッチのパンツをつくっている工場が、自分たちのブランドを持ち、海外に卸して販売している。欧米には、ファッション好きな人なら必ず知っているファクトリーブランドがあって、もう何十年も根付いているんです」

          「30歳になった時に、当時社長だった父と初めてビジネスの話をしました。そのとき、父が『これからは、ブランドをつくっていくような会社じゃないと難しい』と言ったんです」
          父の言葉を聞いた大江さんは、「会社を継ぐ、というよりも、ブランドをつくるため」に米富繊維に入社。ここから、ブランド開発が始まった。

          編みもので織りもの? 斬新なテキスタイル「ニットツウィード」

          デザインもモノづくりの経験もない大江さんが、入社後にまず始めたのは、米富繊維がこれまで開発した約2万点ものテキスタイルに目を通すことだった。米富繊維にはOEM・ODMを行う工場では珍しく開発部門があり、開発したテキスタイルは全てアーカイブされている。

          ある日、大江さんは「これは間違いなく、うちでしかつくれない」テキスタイルに出会う。それが、後に<COOHEM>のアイデンティティとなる「ニットツウィード」と呼ばれるテキスタイルだ。布製品は、経糸と緯糸を交差させる「織物」とループに糸を編み込む「編物」に大きく分けられ、「ツウィード」は「織物」にあたる。では、「ニットツウィード」とは何か?

          「『ニットツウィード』は、ニットの機械を使って、ツウィードに見えるようにプログラムされて編まれた全く新しいテキスタイル。入社以来、開発ひとすじの大ベテランである開発室長が、新しさを織物に求めたんでしょう。米富繊維の技術力があるからこそ、できたものだと思います」

          このテキスタイルを元に、素材や色・デザインをアレンジして出来上がったのが<COOHEM>である。

          <COOHEM>という名前は、形状の異なる複数の素材を編み立てて全く新しい技術を表現した「交編(こうへん)」に由来する。2010年にウィメンズから始まった<COOHEM>は冒頭で述べた通り国内外のセレクトショップや百貨店に卸され、米富繊維の主力ブランドとなった。

          2つ目のブランドは、“セーター”しかつくらない

          <COOHEM>の認知度が高まれば高まるほど、「米富繊維=COOHEM」のイメージがつき、やがて「生地をつくる会社」「セーターはつくれないのか」と思われることも多くなった。しかし、米富繊維は大手アパレルをはじめ様々な製品をつくってきた老舗ニットメーカー。創業以来、最も多くつくってきたのが「セーター」だ。

          「2つ目のブランドは、<COOHEM>とは正反対のことをやろう、と最初の方で名前が決まりました。それが<THISISASWEATER>です。この名前にしたら、セーターしかつくれない(笑)。ちなみに、実は<COOHEM>の裏テーマは“THIS IS NOT A SWEATER”。だから、<COOHEM>にはセーターの商品も無地の商品もないんですよ」

          開発に数年を費やし、2020年に発表された<THISISASWEATER>はクルーネックのシンプルなデザインが特徴的だ。公式サイトを見ると、同じ形で色とサイズが違うセーターを、性別も年齢もバラバラなモデルが着用している。

          「シンプルなセーターの良いところは、誰が着ても着れること。ウィメンズ・メンズと明確にターゲットが分かれていた<COOHEM>と違い、<THISISASWEATER>はターゲットがないんです。だから、誰にでも着ていただけます」

          “ニットのまち”だから出来る、モノづくり

          <THISISASWEATER>は、「カシミヤフレンチメリノ」という独自開発した糸を用いている。繊細で肌触りの良いカシミヤと、繊維が太くカジュアルなウールを掛け合わせており、ぬめりのある肌触りでストレスなく着られるのが特徴だ。

          「何度も試作を重ねて糸が出来上がって、いざ染めてみるとカシミヤとウールで色差が出てしまいました。染色工場を何度も行き来して、修正しては編んでを繰り返してやっと出来たんです」

          「これは、ニットの産地である山辺町だからこそできること。モノづくりをしていて、ノートラブルってことはありません。常にトラブルは起きる。でも、地域内に周辺業者が集まっているし、さらに言うと歴史や技術力のある業者も多い。だからこそ、実際に会って解決するための方法を出し合えて、品質を保てるんです」

          大江さんは、常日頃から「いち消費者として好きになれないものはつくらない」ことを心がけ、従業員にも伝えているという。それは、好きでないとトラブルが起きたときに対応がおざなりになるし、何よりも商品はお客様のものなのに自分が好きと言えないものをつくるなんて失礼だ、と考えているからだ。

          そして、米富繊維では自社ブランド商品の修理を行っている。
          「価格が高い商品なので、不具合が生じたらぜひ送ってください。永く使っていただけるよう、私たちがメンテナンスします。末永く着ていただけるのが、本望ですから」
          依頼のあった箇所以外にほつれなどがあれば修理し、一枚一枚アイロンをかけて戻すようにしているそうだ。商品一つひとつに愛情を持ってつくっているからこそ、ここまで丁寧に修理してくれるのだろう。

          2つのブランドは、欧米や東京ではない“ニットのまち”山辺町だからこそ、
          そして、70年もの歴史と技術力のある米富繊維だからこそ、生まれたものだ。

          一つひとつが丁寧に愛情を込めてつくられた商品は、
          触れるたびに、袖を通すたびに、何だか嬉しい気持ちになる。
          唯一無二の米富繊維のモノづくりに、ぜひ触れてみてはいかがだろうか。


          ※現在、<THISISASWEATER>は次シーズン商品を準備中です。ご了承ください。