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漁船が陸を進む奇祭「常陸大津の御船祭」の臨時開催を盛り上げたい!!

カテゴリー:伝統・文化・歴史 

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寄付金額 1,585,000

52.8%

目標金額:3,000,000

達成率
52.8%
支援人数
23
終了まで
受付終了

茨城県北茨城市(いばらきけん きたいばらきし)

寄付募集期間:2017年4月1日~2017年4月30日(30日間)

茨城県北茨城市

プロジェクトオーナー

 船は水の上を進む乗り物。そんな常識を打ち破る奇祭が茨城県北茨城市にあります。
 その名も「常陸大津の御船祭」。北茨城市大津町の佐波波地祇(サワワチギ)神社で、5年に1度、5月2日、3日に開催される春の大祭です。
 普段は車が走るアスファルトの路面にソロバンとよばれる井桁状に組んだ木枠100丁を敷き、20、30人の若者が船縁にとりつき左右に揺らしながら木枠の上を滑らすように曳いていくという、見ごたえのある勇壮な祭りです。
 次回開催は平成31年の予定でしたが、この度3月3日に国の重要無形民俗文化財に指定されたことを記念して、平成29年5月2日(火)、3日(水・祝)に臨時開催される運びとなりました。
 臨時開催される「常陸大津の御船祭」を盛り上げるために皆様のご支援をお願いします。

まちの隙間を漁船が走る!「常陸大津の御船祭」とは…?

 茨城県の東北端、福島県いわき市と接する北茨城市。その大津地区で5年に1度行われるのが「常陸大津の御船祭」。飾り立てた漁船が神輿を載せて大勢の人の力で曳かれて陸上を進むという勇壮な祭りです。車輪などは使わず、道路に「ソロバン」と呼ばれる木枠を敷き詰め、通過した後はすぐに持ち上げて御船の進行方向へ再び敷いていきます。この「ソロバン」は前回150丁使いました。切り倒したばかりの生木で作らないと、水分がないために船が上を滑っていかないのだそうです。船だけでも8トン、神輿と人を載せると12トンにもなる船がソロバンの上を通過するときにはその摩擦熱で発煙し、独特の芳しい匂いが立って、それがさらに祭りの雰囲気を盛り上げます。あまりの船の重さにソロバンが壊れることも多いのですが、船大工の方がすぐに修理してすぐに再利用されます。

 生木でできたソロバンはかなり重く、運ぶときは若衆の腕の見せどころになります。その枠に腕を通して肩にぶら下げるのではなく、肩の上に持ち上げるのが「粋」なのだとか。ソロバンのスピーディーでかつ安全な敷き方、積み方にもコツと「粋」なスタイルがあり、それは祭りを何度も経験して身に付けていくのです。
 船の両側にとりついた若衆が左右に船を揺らすのにも理由があります。船とソロバンの接触面が最小になって摩擦が少なくなった瞬間を見計らって進行の合図が出て、一斉に前に進んでいきます。

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 ユネスコ無形文化遺産にも登録された、京都の祇園祭が原型となった全国の「山・鉾・屋台行事」。常陸大津の御船祭は登録された33件の祭りには含まれていませんが、これら全国の山車が巡行する祭りには見あたらない最大の特徴は、「実際に航海する本物の船」を山車として使うこと。船の形をした飾りを山車として使う祭りは全国にも見られますが、実物の船を山車として陸に揚げて道を進む祭りというのはおそらくこの場所をおいて他にないのではないでしょうか。

昭和59年

昭和59年の様子

平成11年

平成11年の様子

東日本大震災からの再起

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災。北茨城市も甚大な津波被害を受けました。大津港の周辺では水産業関連施設が水に浸かり、船や漁網などの漁に使う道具類が流失。佐波波地祇神社でも鳥居や石塔・石碑が倒れたりずれたりしたほか、御神輿殿や参集殿に奉納された絵馬や写真などが水に浸かりました。

 津波は祭りの背景をなす、街の景観さえも大きく変えました。御船が進む通りには漁業集落のシンボルでもあった十二軒長屋(「ハモニカ長屋」)をはじめ、家が密集していて、以前の祭りでは軒先に御船が当たりそうで当たらないという緊張感が集まった人の興奮をかき立てていたといいます。しかし、震災の津波により市内では6000棟の家が損壊、全壊家屋は189棟にのぼり、御船の順路でも多くの家が失われました。

 また、祭に直接に影響するのは道具類の被災です。祭りの要である祭事船は北茨城市漁業歴史資料館「よう・そろー」に展示されていますが、ここも津波で浸水。船と同時に保管されていた旗、提灯、太鼓といった道具類も海水によって被害を受けました。

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 震災後初の祭開催にあたり、課題は山積していました。大きな課題のひとつは祭を支える人と資金です。

 震災では祭関係者からも犠牲者が出ました。さらに家がなくなったということはコミュニティ活動を支える、地区内の人口が減ることにもつながります。祭りにあたっての安全対策のために、震災前以上の手間と費用も必要になってきました。一地域の祭りとして完結するのではなく、これからはさらに積極的に外から観覧客を呼び、また人やお金を集めなければなりません。祭り開催のために関係者は奔走し、東京に出向き記者会見も開いて報道を通じて地域の外に向かって協力を求めました。

 震災後に初めて祭りを挙行するにあたって、この大変な状況にあって地区の人がどこまで祭りのために動いてくれるか、不安だったといいます。しかし、危険箇所の点検などをしていくうちにだんだんと「お祭りをやるんだ」という意識が生まれ、世話人からも「ああやっぺ」「こうやっぺ」と意見やアドバイスが出てきました。また、平成26年の御船祭では事前に神輿の担ぎ手のほか、祭事船の曳き手を一般公募したところ、500人もの応募がありました。

 通りの家がなくなったことで、むきだしになった住宅の基礎部分が否が応でも目に入るばかりでなく、立ち入りが危険な箇所もあり、そうした場所を見回って点検の上、祭の当日には今までになかった桟敷席を住宅跡に設けるようにしました。祭の重要な儀式「潮垢離」の場所も工事中だったため、場所を変更しました。

 神社の御神輿殿再建をはじめ、鳥居・石碑等の修復、神社や祭関係の道具の修復についても祭りに間に合わせるべく急ピッチで行われました。

【注意事項】

※参考文献:北茨城市教育委員会『常陸大津の御船祭 総合調査報告書』北茨城市教育委員会、株式会社植田印刷所 平成27年3月

皆さまからの寄附金の使い道

 「常陸大津の御船祭」は前回、平成26年に開催され、本来ならば平成31年に行われる予定でしたが、この度、3月3日に国の重要無形民俗文化財に指定されたことを記念して、今年平成29年5月2日(火)・3日(水・祝)に緊急開催されることとなりました。

 今回のプロジェクトでは今年の開催にまつわる運営資金を募ります。当プロジェクトにご賛同いただきました皆さまには、お礼の品として地元大津漁港で水揚げされた地物を使用した水産加工品の詰合せなど、北茨城市の特産品をご用意しております。

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※目標金額に到達しなかった場合も、別途資金を用意し、事業を実施いたします。

現在進捗情報はありません。

茨城県北茨城市

 北茨城市は茨城県最北端に位置し、関東富士見百景にも認定された栄蔵室、日本の音百選に選ばれた五浦海岸、秋の紅葉スポットとして有名な花園渓谷など、四季折々に艶やかな姿を見せる自然に恵まれた、風光明媚な地です。
また、「しゃぼん玉」や「赤い靴」などで知られる童謡詩人・野口雨情が生まれ、近代美術の創始者・岡倉天心がこよなく愛した地でもあります。
 食においては、平成26年11月に築地市場で開催された鍋グランプリで見事グランプリを獲得したあんこう鍋や、「農林水産大臣賞」を獲得したこともある花園牛が名物です。